Number ExBACK NUMBER
登板機会を自ら手放した松坂大輔。
彼は変わってしまったのだろうか。
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph byTadashi Shirasawa
posted2017/04/26 07:00
3月25日のオープン戦が最後の登板となっている。4月は登板予定の二軍戦が2試合続けて雨天中止となる不運も。
松坂の存在は、想像以上に大きかった。
和田毅、村田修一、杉内俊哉を筆頭に、1980年度生まれの現役選手たちに話を聞いていく。インタビューでは必ずしも松坂に対する思いを語ってもらう意図はなく、あくまでそれぞれの選手の今季にかける意気込みを引き出そうとした。
しかし、こちらが想像していた以上に、松坂世代の選手たちにとって松坂の存在は大きいものだった。誰の野球人生の中にも、必ず一度は松坂が顔を覗かせる。高校時代の松坂に衝撃を受けて、自分のプレースタイルを見直したこと。その後も常に世代のトップを走る松坂に追いつこうと、努力を続けていること。
そして誰もが口を揃えた、「大輔が変わらないから」自分も頑張り続けることができているということ。
……どうやら松坂世代の選手たちの証言によれば、今でも松坂は変わっていないらしい。
「とても喋る気分じゃありませんからね」
あれほど投げることが好きだった松坂が「変わっていない」とするならば、これまでの「投げない」という決断は相当な苦渋を伴うものだったのではないか。その真意を、どうしても松坂に確かめてみたい。
本人への取材日となったのは、登板予定だった4月15日。結果が出ていない現状では、何かを発言するだけで批判される可能性もある。昨今の論調を見れば、インタビューは断られても仕方がないかと覚悟すらしていた。
「それはそうですよ」
現れるなり、松坂は苦笑いを浮かべながら言った。
「こんな状況ですし、とても喋る気分じゃありませんからね」
それではなぜ、渋々ながらも取材を受けてくれることになったのか――。