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ロッテで1人気を吐く主将・鈴木大地。
学生のような自主トレで返る「初心」。 

text by

永田遼太郎

永田遼太郎Ryotaro Nagata

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photograph byKyodo News

posted2017/04/26 08:00

ロッテで1人気を吐く主将・鈴木大地。学生のような自主トレで返る「初心」。<Number Web> photograph by Kyodo News

オープン戦1位にもかかわらず不振に沈むロッテ。キャプテンの鈴木自身の打撃が好調なだけだけに、歯がゆいところではある。

柿沼の今の気持ちを察した言葉をかけた鈴木。

 柿沼にとって、鈴木の言葉はまさに金言だった。

「それまでは早く稼げる選手になりたいってずっと思っていたので。それを聞いてハッとしました」

 この春季キャンプで柿沼は、新人の宗接唯人に一軍昇格で先越され、気持ちに焦りが出ていた。U-23の活躍……そして一軍キャンプ招集といった未来図を彼の中で知らずに思い描いていたのだろう。

 鈴木はその気持ちをすかさず察知して、前述の言葉を彼に送った。周りが見えている証拠でもある。

「ひとつずつコツコツとやれたら」

 今年の鈴木大地からは以前とはどこか違う、人としての懐の深さを感じるときがある。

 たとえば嫌いなもの、苦手だなと思っていることも、いったん懐に入れて消化する。それが彼の言葉や態度、プレー中の何気ない振る舞いからも感じることができるし、その意識が打撃や守備でも彼に好影響を与えているように思えるのだ。

 今年からセカンドを任されることについて、鈴木はこう話す。

「今までの野球人生、もちろんプロに入ってからもそうですけど、飛躍的に良くなったとか、活躍できるようになったとかもなかったですし、いつも何かしらの壁があって、それをひとつずつクリアして、コツコツとやってきました。だから今もいきなり上手くなることもないと思ってやっていますし、今年も積み重ねた結果として秋にしっかりした形で終わっていればいいなと思いながらやっています。

 セカンドというポジションは本当に難しいのですけど、最初から上手くは出来ないですし、それでも我慢して、ひとつずつコツコツとやれたら、それも自分らしくて良いのかなって思っています」

 何気ない言葉だが、じつに深みのある言葉だな、そう感じた。

【次ページ】 「このコンバートは野球人生のターニングポイント」

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