球道雑記BACK NUMBER
ロッテで1人気を吐く主将・鈴木大地。
学生のような自主トレで返る「初心」。
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byKyodo News
posted2017/04/26 08:00
オープン戦1位にもかかわらず不振に沈むロッテ。キャプテンの鈴木自身の打撃が好調なだけだけに、歯がゆいところではある。
毎年自分に課している「初心に帰る」こと。
自尊心はときに成長の邪魔になることが多々ある。
「なんでショートではなく、セカンドなんだ」と考えたところであまり意味はない。
ならば鈴木のように、目の前で起きたどんな出来事でも素直に受け入れて、新しい何かとして吸収した方が、のちのちの自身の成長にも繋げることができる。
それこそが毎年、彼が大切にしているという「初心に帰る」自主トレの効果のようにも思えた。
「野球が好きだ」という気持ちが伝わってくる人。
「大地さんと練習をしていると、野球で稼ごうというよりも、野球が好きだ、野球で上手くなりたいという気持ちが伝わってくるんです。練習で妥協も一切しませんし……」
そう話すのは今年、その鈴木が主催する自主トレに参加したプロ2年目の柿沼友哉だ。
さらに彼はこう続ける。
「初心とかそういう気持ちは確かに出てきましたね。自分たちで洗濯もして食器も洗ったりしていますし、シーズンに入る前に自分たちの私生活を見つめ直すじゃないですけど、それくらいの環境で自主トレが出来ているなって素直に思わせてくれるので」
柿沼は2015年の育成ドラフト2位でプロ入りして、昨年7月にはさっそく支配下登録をされた。さらに10月に招集されたU-23ワールドカップ日本代表にも選出されて、全9試合でマスクをかぶると、好リードでチームの世界一にも貢献。評判をさらに上げた。
取材で柿沼と接していて毎回感じるのは、鈴木と同じ「素直さ」があることだ。こうした運を次々と掴んでいけたのも彼の素直さゆえではないだろうか。
そんな柿沼に、鈴木は食事の席でこんなアドバイスを送ったという。
「野球で稼ごうという気持ちでやるのも良いんだけど、そう考えて野球を続けていたら好きな野球がだんだんつまらなくなっちゃうよ。
好きで野球を続けているなら、どうやったら上手くなれるかを考えた方がいい。それが結果として『稼ぐ』ことに繋がればいいんだから」