錦織圭、頂への挑戦BACK NUMBER
フェデラーが錦織圭を名指しで警戒。
今年のクレーシーズンは予測不能だ。
posted2017/04/22 11:30
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph by
Hiromasa Mano
クレーコート・シーズンに突入した。
シーズンの変わり目――年が明けて南半球シリーズが始まるときも、短い芝の季節を迎えるときも、夏の北米ハードコートシーズンがスタートするときも、いつも独特の“匂い”があるものだ。この時期の香りは特に中毒性が強い、そう感じるのは自分だけだろうか。
燃えるようなレッドクレーのキャンバスが視覚に訴える刺激のせいなのか、そこで繰り広げられる長いバトルが肉体的にも精神的にも苛烈を極めるからなのか……。
錦織圭は今季、そんなクレーの大会でのチャンスを意識的に狙っていた。
昨年の全仏では優勝候補の上位に挙げられるなど周囲の高い評価を浴びていたが、「これだけ結果が出ると、好きに……ならずには……いられない」という本人のコメントからは、かつて苦手意識のあったクレーで好結果が出ていることに対し、まだ多少驚いている様子も読み取れた。
「サーフェスなどのコンディションがすごく悪かった」
より固い決意でクレーのポイントを取りに行くという明確な姿勢の表れが、今年2月に敢行した南米遠征だったはずだ。
しかしブエノスアイレスは決勝でタイトルを逃し、リオでは初戦で敗れるという結果に終わり、その後のインディアンウェルズではこう振り返っていた。
「優勝して大きなポイントを取りたかったですけど、サーフェスなどのコンディションがすごく悪かったので、あの中でよくがんばってプレーできたなという思いもある」
それは収穫というより、もうすっかり気持ちを切り替えたという意味に聞こえた。
しかし、あの2大会を戦ったことが本格的なクレーシーズンに好影響を及ぼすのかどうなのか――。