錦織圭、頂への挑戦BACK NUMBER
フェデラーが錦織圭を名指しで警戒。
今年のクレーシーズンは予測不能だ。
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byHiromasa Mano
posted2017/04/22 11:30
昨年の全仏では、フェデラー欠場、ナダル3回戦棄権という条件が重なり、優勝の可能性がこれまでになく高かったのだが……。
ワウリンカを含めた「ビッグ5」の時代に錦織は!?
ワウリンカはすでに3つのグランドスラムを手にしており、「ビッグ4」にこのワウリンカを加えて「ビッグ5」とも呼ばれるほどの強者。認めるのは当然だ。
グランドスラムのタイトルを持たないのは、錦織とティームの2人だけということになる。
ティームはフェデラーと同じく片手打ちのバックハンドを持ち、23歳にして8つのツアータイトルを獲得している若手のホープ。ちなみに錦織の23歳のときのタイトル数はまだ3つだった。
フェデラーは昨年このティームと3度も対戦し、1勝2敗と負け越している。膝のケガのためにベストコンディションで戦っていなかった昨年の出来事とはいえ、近々に2敗した相手を意識するのは無理もない。
フェデラーとは5勝2敗の対戦成績だが……。
さて錦織だ。
通算の対戦成績はフェデラーの5勝2敗で、このところ錦織は全豪オープンの4回戦を含めて4連敗している。しかも今季の錦織は絶好調とはいいがたい。
勝てる試合、取るべきタイトルを逃している印象がくすぶる中、特にマイアミでの右手首と左膝のケガが空気をより重くしていた。
最近の勢いや対戦内容などで判断すれば、21歳のニック・キリオスあたりが出てきてもいいが、発言の意図はそう単純なことではなさそうだ。
その選手が発揮した最高のパフォーマンスを想定し、フェデラー自身が怖いと感じるものをピュアに評価している。そこは、最近の成績やムードによる評価に寄りがちな、マスコミも含めた多くの人々とは違う。
自身がスランプも経験し、引退を囁かれたりしながら「今」を迎えているフェデラーの、現状の好不調に単純にとらわれない言葉は重みがある。