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なぜ宇賀神友弥は浦和で不動なのか。
平川から受け取り、関根に渡す愛。
text by
杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph byURAWA REDS
posted2017/04/21 11:00
宇賀神友弥は何の選手か、と聞かれると答えることは難しい。だがチームに必要な選手かと言われれば答えは単純だ。
コーチに叱責された「お前、みえみえだよ」。
「サッカーは、ボールを持っていないときの動きも大事なので」
自信にあふれる、この言葉は今だからこそ言えること。
ペトロビッチ監督の就任初年度となる'12年。大卒3年目の宇賀神は、シーズン開幕からリーグ戦10試合で出場なし。1分もプレーできていない状況に焦りを感じていた。
「このままでは浦和と契約更新できない」
チャンスをもらったナビスコカップ(現ルヴァンカップ)では、アピールすることしか頭になかった。しかし、「気負うとダメなタイプなので」と苦笑い。試合では攻守両面で空回りした。セレッソ大阪(4月18日)に1-4で大敗した後、堀コーチに叱責された。
「お前、みえみえだよ。ウガ(宇賀神)は守備もしないといけないし、ほかの選手を生かすための動きも必要なんだぞ。ボールに触らなくてもチームに貢献できる。少し気持ちを切り替えろ!」
あらためて自分の映像を見て、がく然とした。
「俺はいったい何をやっているんだ」って。
堀コーチのひと言がきっかけになった。そこで、タッチライン沿いに張っていることが多い浦和のアウトサイドに求められる「本当の役割」を理解した。
ライバルの平川を観察し、直接教えを請うた。
ただし、そこからすぐに先発の座をつかんだわけではない。当時、レギュラーだった平川忠亮の動きをじっくり観察した。ポジショニング、オーバーラップのタイミング、ボールを持っていないときの動きを1から勉強した。先輩のバランス感覚は、どれも絶妙だった。無駄がないのだ。しっかり考えてプレーしているのが分かった。
「なぜ、ヒラ(平川)さんが起用されて、僕が使われないのかをずっと考えた」
どうしても分からないことは、ポジションを争う平川にも直接尋ねた。すると、懇切丁寧に教えてくれた。アドバイスだけではない。はっぱまでかけられた。
「浦和で俺がいつまでも試合に出ているようではダメなんだから。早く俺からポジションを奪い取るくらいになれ!」