ゴルフボールの転がる先BACK NUMBER
キャリアのピークは誰が決めるのか。
谷原秀人と池田勇太の年の取り方。
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph byYoichi Katsuragawa
posted2017/04/19 08:00
練習中に、いい表情を見せてくれた池田勇太と谷原秀人。若い才能の出現と選手寿命の伸長で、ゴルフ界の世代は今本当に幅広いものになっている。
それでもマスターズのレベルは遠かった。
今季は谷原も池田も、ベースは日本に置いたままスポット参戦を続ける。だがマスターズはともに予選落ち、翌週RBCヘリテージは決勝ラウンドに進んだが、日に日に順位を落として一時帰国の途に就いた。
谷原は10年ぶりのオーガスタでの戦いを終えた数日後、厳しい自己評価を下した。「反省は……あまりない。反省じゃないんですよ。反省するレベルにない」。強風に見舞われた予選ラウンドで、未熟さを再び思い知らされることになった。やっぱり自分は通用しないのか? こんな悔しさ、出なければ味わわなくて良かったのに。
それでいて白旗を上げる気にもなれない。沸々とわいてくるのは、ただ現状を憂う思い。「トレーニングとか、飛距離への取り組みとか、また一からやるのか、この年になって。腹立つわ……。でも、試合が待ってるから、集中的にできねえやん。でも、試合に出なきゃ次はない。いつやるんだ、いつ休むんだオレは!」
12年前に感じた感情と同じだった。
「年、取ったぜ」と言って谷原は笑った。
悩んで、ボヤいて。ただその心情が、前向きなものであることは言うまでもない。
この1カ月で、谷原の周りには些細な変化があった。米ツアーのウェブサイトや試合会場での電光掲示板に表示される選手紹介の画像が新しいものに差し替えられた。マッチプレーの時まで使用されていたのは、何を隠そう12年前のもの。RBCヘリテージで新しくなったのを見て、「やっと変わったよ。ずっと昔のままだったからね」と言った。今回の挑戦がなければ、写真は永遠に2005年当時のモノが残っていたはずだった。
「年、取ったぜ」
そう言った谷原は、笑っていた。
アスリートの旬は千差万別。選手寿命の長いゴルフなら尚更だ。それぞれのストーリーは色彩豊かになっていく。なにせ、時間をかけて再挑戦に至った2人も、今がキャリアのピークだと認めるはずがないのだから。
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