松山英樹、勝負を決める108mmBACK NUMBER
松山英樹、苦しかったマスターズ。
最終日のベストスコア67でも……。
posted2017/04/10 14:50
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph by
AFLO
3日目の18番で、2オンしながら4パットしてダブルボギー。魔の54ホール目に落胆し、「チャンスはない」と下を向いた松山英樹。首位と10打差の28位タイで迎えた最終日、世界4位の強者は何を想いながら1番ティに立ったのか。その胸の内を想像しながら、彼の最後の18ホールを眺めた。
1番を慎重にパーで発進すると、パー5の2番では見事に2オンしてバーディーを先行させた。だが、3番では短いバーディーパットを外し、5番では長いバーディーパットがカップに入りそうで入らなかった。6番(パー3)はグリーンを捉えながら3パットしてボギー。苦悩し続けてきたパットは、どうやら今日も上向いてはいない。
そう思った矢先、7番では左ラフからピン3mに付け、これをスルリと沈めてバーディーを奪った。この3日間、7番は「鬼門」だった。初日は左の林の外へ、2日目は右の林へと曲げてリカバリーもできず、どちらもダブルボギーを叩いた。3日目もグリーン周りでもたついてボギー。
「状態が悪いんで、無理したくなるところでミスが出ている」
その1つがこの7番だったが、最終日にしてようやく攻略。それが「潮目」になってくれるのではないか。思わず、そう念じた。
優勝争いの蚊帳の外では、運は問題ではない。
パー5の8番。ティショットはやけに飛んでいた。2打目は木に当たってグリーン左手前のパインストロー(松の枯れ葉)の絨毯の上へ。せっかくのビッグドライブは、そんなアンラッキーで打ち消されたが、そこからのチップショットはピンフラッグにガツンと当たった。しかし、カップに入りかけて入らず、ボールはカップの真横にとどまった。
木に当たったことはアンラッキー。だが、ピンフラッグに当たったことはラッキーか、アンラッキーか。
もしもそれが優勝争いの真っ最中だったら、そんなことを取り沙汰したりもしていたのだろう。しかし、優勝争いの蚊帳の外では、もはや運不運を問うこともない。