ゴルフボールの転がる先BACK NUMBER
「イチローさんは200本安打の記録が途切れてから…」松山英樹が“超一流”に学んだ上昇志向…生涯賞金80億突破も、まだ「挑戦者」なワケ
posted2024/09/06 11:02
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph by
Yoichi Katsuragawa
PGAツアーのポストシーズンを彩るプレーオフシリーズ。松山英樹は直前のポイントランキング上位50人による第2戦・BMW選手権を途中棄権した。
前日の第1ラウンドを首位に1打差の5アンダー2位で終えながら、腰の痛みがピークに達した。「(7月)スコティッシュオープンのときが一番痛かった。全英(オープン)も……。パリ五輪では大丈夫だったのに」。ここ2年、どうにもこの試合とは相性が悪い。昨年も背中痛を理由に棄権。奇しくも、同じ大会2日目のプレー開始前にコースを去っていた。
ただし1年前は、棄権がそのままシーズンの終わり(厳密にいうと、秋季シリーズがある)を告げたのに対し、今年は次のゲームを見据えた休養になった。ジョージア州アトランタで行われるシリーズ最終戦・ツアー選手権はPGAツアーのプレーヤーにとって憧れの場所であり、進出自体がシーズンを評価するところ。直前のポイントレース上位30人だけが出場できる4日間はエリートフィールドと言うに相応しい。
2007年に整備された現行のフェデックスカップ以降、この試合に日本人選手で出場経験があるのは他に2008年の今田竜二だけ(丸山茂樹は制度前の2002、04年に出場)。松山はしかし、2014年に主戦場をPGAツアーに移してから今年11回目で、唯一、出場権を逃したのが昨年だった。
銅メダルから2週間後に今季2勝目
“球聖”と言われた伝説的ゴルファー、ボビー・ジョーンズのホームコースだったイーストレイクGCに、2年ぶりにたどり着いたことを松山は素直に喜んだ。2月のジェネシスインビテーショナルで優勝。シーズン序盤戦に獲得ポイントの高いシグニチャーイベント(昇格大会)を制したこと、春先に上位フィニッシュを重ねたことでレースを優位に進められた。極めつけはプレーオフシリーズ第1戦・フェデックスセントジュード選手権での今季2勝目。パリ五輪銅メダル獲得の2週後の出来事だった。