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石川遼が見たバンクーバー五輪。
鈴木明子のセリフで考えたこと。 

text by

雨宮圭吾

雨宮圭吾Keigo Amemiya

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photograph byMami Yamada

posted2010/03/05 00:00

石川遼が見たバンクーバー五輪。鈴木明子のセリフで考えたこと。<Number Web> photograph by Mami Yamada

石川遼が見たバンクーバー五輪。鈴木明子のセリフで考えたこと。

 当事者意識のあるなしは物事の見方に大きな影響を与える。無関係だと思えば関心のわかなかったことも、当事者であれば期待も不安も色々な感情が膨らむ余地が大きくあるというものだ。

 28日に閉幕したバンクーバー五輪は、石川遼にとって初めて当事者としての意識をもって見られる五輪だった。

「選手村はどうなってるのか、どういう雰囲気なのかとか思いますよね。選手村の中にはマックがあるらしいよとか、リアルに考えられるじゃないですか。今までは僕は関係ないからと思っていたのが、そういうところまで興味が出るっていうのはゴルフがオリンピック種目になったからこそだと思うんです」

 昨年のIOC総会で、ゴルフは2016年リオデジャネイロ五輪から正式競技として採用されることが決まった。「ゴルファーももっとオリンピックに興味をもつようになると思う」と話していた石川。夏季五輪と冬季五輪の違いはあるとはいえ、今大会をテレビで観戦してみて自分の気持ちの変化を実際に感じていた。

“4年に一度の緊張感”に石川遼はどう対峙するのだろうか。

 ゴルフには4年に1回だけ行われる大会というのはない。石川の最大目標であるマスターズは毎年4月にオーガスタで行われるし、全米オープンなど他のメジャーもコースは変わっても毎年開催されるものだ。

 だからこそ、4年分の思いを込めた選手のプレーというのは石川の心に新鮮に響いたようだ。米国遠征などもあって見ることのできた競技は限られていたが、フィギュアスケート女子で8位に入賞した鈴木明子の「すごく幸せな4分間だった」というコメントは特に印象に残ったという。

 ゴルフはある程度のミスを前提とした競技である。4年に一度の大舞台。ミスが許されない状況で放つショットとはいかなるものか。極限の緊張感を味わいながら、石川も幸せと言うことができるのだろうか。

「もちろん五輪は特別な大会だし、世界が一つになる特別な時間だと思うけど、僕がやることは変わらないし、ミスを少なくしたいと思っても少なくなるわけじゃないですから」

 今は平然と話していられるが、その時に石川が感じるリアルな感情はまだ誰にも分からない。

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