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大家友和が41歳で告げられた解雇。
ナックルボーラーはどこへ行くか。
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph byAFLO
posted2017/04/18 07:00
大家友和がナックルボールを投げるようになって4年目。本人は今が成長期だと感じているのだが……。
1回の失投で、「もう終わった」と覚悟を決めた。
話を元に戻そう。
22日のオープン戦3度目の登板で、大家は走者を置いた場面で本塁打を許すなどして2回を3失点。本人も「もう終わった」と覚悟を決めたという。
「簡単に言うと、クビになる理由を自分で作ってしまったってことです。それは僕も若いころに嫌というほど経験してきているし、同じチームにいたベテランの人がクビになるのを見てきて分かっていること。当時の僕はまだ若かったし、有望株の中にも入れてもらっていたからクビにはならなかったけど、試合で打たれれば、それがマイナーに落ちる理由になった。今はもう年齢も年齢なんで、普通に考えたらクビになる」
未練ではなく「これでもう思い残すことはない」
そう覚悟を決めていた大家だったが、他の選手たちが次々と契約を解除される中、なぜか生き残って25日の登板が決定。そこで大家は3回2安打無失点と好投した。
「これでもう思い残すことはない」
大家はきっぱりと言った。それからの3日間も、周りの選手が1人、また1人とクビになるのを見届ける側だった。それでも彼は「自分がマイナーに残る枠はない」と悟りきったように言い、29日の登板予定が入った時ですら「登板予定だった選手がクビになったのを見ているんで、関係ないですよ」と気にした素振りは見せなかった。
だから28日の朝、コーチ室に呼ばれて「君のための仕事がないんだ」と告げられても、驚くことはなかった。
「ここに来てまたひとつ、ナックルのレベルが上がってきた実感はあったんで、そこについては少し残念な気持ちもあるけど、もう何の未練もないですよ」
ホテルのロビーのソファーにもたれながら、大家はそう言った。それから彼はロビーに用意された安物のコーヒーがなくなるまで、いろんなことを話した。
キャンプで出会った若い選手。日本で通用する外国人選手とはどういう選手か。若い選手たちに対する指導法のバリエーション……等々。その間も、大家の代わりにチームに残った若い選手たちが次々と声をかけてきた。
「これからどうするの?」
「日本にはいつ帰るの?」