セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
変化を選んだユーベ、変らぬバルサ。
CLで「3-0」の価値は次戦でわかる。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2017/04/12 21:00
ディバラの2ゴールは、ユベントスをベスト4へ大きく前進させた。ブッフォンの悲願となるCL初制覇は、視界に入っている。
俺たちは2年前とは違う。
終盤のFKではゴール前のこぼれ球に反応したFWスアレスに、DFキエッリーニが追いすがってCKに逃げた。3年前にブラジルで噛みつかれた恨みを蒸し返すことなく、疲労で足がつった後もキエッリーニは淡々と潰し役に徹した。
アッレグリは89分にDFバルザーリを投入した。2年前の決勝では故障者続出で使えなかった鉄壁の3バック、“BBCトリオ”が、MSNトリオの前に立ちはだかる。
95分、FWスアレスの力ないヘディングがGKブッフォンの両の掌に収まったとき、試合終了の笛が鳴った。
俺たちは2年前とはちがう。
ユベントスの執念が、グラウンドの上に漲っていた。
実はアッレグリには、バルサに大逆転された過去がある。
指揮官アッレグリには、バルサ相手に苦い過去がある。
ミランを率いて出場した4年前の大会で、サン・シーロでの初戦に2-0で完勝を収めた後、敵地カンプ・ノウで4点を決められ逆転敗退を喫した。FWメッシが繰り出した異次元の個人技による敗北は、チームスポーツの指導者として受け入れがたい不条理だった。
2-0だろうが、3-0だろうが、2戦目が終わるまで彼が警戒を解くつもりはない。
「メッシにネイマール、イニエスタ。それにラキティッチとスアレス、彼らにボールを渡せば即命取りになるのはわかっていた。だからこそ、今夜の守備陣の手柄は大きい。ディバラが得点機に決めきるという役割をきっちりこなしたように、他の選手たちも各々の仕事をきっちりこなしてくれた」
そして、「自分たちは2年前とはちがう。敵地でもゴールを奪う」という言葉に力を込めた。
FWディバラの声は、試合後もまだ弾んでいた。
「すごい試合だった。子供の頃からこんな試合を夢見ていたから、今夜の2ゴールは嬉しすぎるよ。バルサがパリSG相手(の2戦目)にやったことはチームの皆がよくわかってる。だから初戦で勝つことはもちろん、失点しないことも同じくらい大事だった。今夜、ユーベは自信をもって戦うことができた。カンプノウでもチーム全員で戦う」