セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
変化を選んだユーベ、変らぬバルサ。
CLで「3-0」の価値は次戦でわかる。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2017/04/12 21:00
ディバラの2ゴールは、ユベントスをベスト4へ大きく前進させた。ブッフォンの悲願となるCL初制覇は、視界に入っている。
憧れのメッシの目前で、ディバラが2ゴール。
21分、反撃に転じたFWメッシのスルーパスに反応したMFイニエスタのシュートがユーベのゴールを襲った。絶妙のコースで枠を捉えたはずが、GKブッフォンが咄嗟に伸ばした左手に阻まれ、ボールは右ポストの外へ逸れていった。
守護神がビッグセーブを見せた直後、FWディバラの左足は再び火を吹いた。
22分、左サイドに展開したFWマンジュキッチから送られたパスに、ディバラはこれ以上ない正確さで反応した。
ダイレクトに合わせたシュートがGKテア・シュテゲンのニアサイドをぶち抜くと、満員に膨れ上がったユベントス・スタジアムは歓喜で爆発した。
「マスケラ・ディ・ディバラー!」
細身の若武者がゴール後に披露するのは、古代ローマの剣闘士がつけていた兜のマスクを模したポーズだ。憧れのメッシの目前で決めた2ゴールはさぞ格別だったろう。
アウベスがバルサを潰す、という皮肉。
ユーベは完全にゲームの主導権を握った。
ただし、エースのゴールや守護神の好セーブだけがその理由ではない。
右サイドバックで先発したDFダニ・アウベスは、昨夏バルサから獲得した名手だ。その彼が、MFイニエスタやFWネイマールがボールに絡もうとすれば躊躇なく潰しにかかった。28分には警告をもらったが、対バルサ用の潰し屋としてダニ・アウベス以上の人材を得るのは難しい。
2点目のアシストを決めたFWマンジュキッチも汚れ役に徹した。この試合のために膝の炎症から復帰した彼は、本職のDFかと見紛うほど最終ラインで体を張り続けた。
ユーベがアグレッシブに攻撃をしかけ、鉄壁の守備を敷くことができたのも、この2年で加入した彼らの献身あってこそだ。