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変化を選んだユーベ、変らぬバルサ。
CLで「3-0」の価値は次戦でわかる。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2017/04/12 21:00
ディバラの2ゴールは、ユベントスをベスト4へ大きく前進させた。ブッフォンの悲願となるCL初制覇は、視界に入っている。
生まれ変わったユーベ、そのままのバルサ。
バルサ戦に先発した11人の内、ベルリンで戦った2年前の決勝戦でもスタメンだったのはGKブッフォンとDFボヌッチのみ。ユーベは別物に生まれ変わっている。
対するバルサはなんと8人が2年前と同じ。研究を重ねてきた智将アッレグリは前日会見で不敵に述べていた。
「彼らは2年前と同じまま。我々は変わった。敬意をもって言うが、バルセロナもキエーボと同じ。必ず弱点がある」
バルサのベンチで、指揮官ルイス・エンリケは声を張り上げていた。
「目を覚ませ! こんなゲームはお前ららしくない!」
彼らのボールポゼッションは7割近くに達し、パス総数は最終的にユーベの倍以上の613本を数えた。パス有効度はユーベを上回る88%だった。
だが、どれだけパスが正確でも、自陣のペナルティアエリア近辺で通させなければいい。ユーベはバルサが崩せなかった12%をそこに集中させた。
CL最多得点のバルサを、最少失点のユーベが沈黙させた。
ベスト16ラウンドを含む今大会8試合で、バルセロナは最多26得点を奪った。大会得点王ランク首位につけるFWメッシ含む“MSNトリオ”が大会最強の攻撃陣であることは間違いない。
しかし、大会最少失点(2失点)を誇るユーベの鉄壁の守備の前に、MSNトリオは沈黙した。
55分、MFマスチェラーノに正面から体を掴まれながら、DFキエッリーニは左CKを頭で合わせた。叩きつけたヘディングは左ポストに勢い良くあたって、ユーベに3点目をもたらした。
FWメッシは両手で顔を覆った。
チームの重心を高く保ち、何とか反撃に転じようとするバルセロナにユーベは泥臭く抗った。