4つの無失点試合、合計失点もJ1最少。

「そういう判断をチームとして共有できています」

　岩波はそう言ったが、試合の状況を読み、自分たちで修正できるチームは簡単に失点しないし、強い。実際、今シーズンは6試合中4試合が無失点で、失点は4しかない。これは鹿島、セレッソ大阪とともにJ1リーグで最少失点である。

　岩波は無失点にこだわっているという。

「昨年は無失点の試合が少なかった。勝っても失点している試合が多くて、レアンドロやペドロ ジュニオールの力で勝てた試合が多かったんです。今年はなかなか点が入らないですが、守備の連係が良いですし、チャレンジ＆カバーも良くなっている。守備は手応えがあるので無失点をすごく意識しています」

　無失点とアグレッシブな守備を可能にしているのは豊富な運動量だ。沖縄キャンプでは練習試合を組まず、1年間戦うために必要なフィジカルを入念に鍛えた。そのフィジカルが今の神戸の「堅守」を支えている。

攻撃の型がない、という不安要素。

　堅実な戦い方で首位になり、チームの雰囲気はいい。中位、下位チームにとりこぼしをせず、勝ち点3を積み重ねているところは抜け目がなく、優勝するために重要なポイントを押さえている。J1優勝を経験しているネルシーニョの哲学がしっかりと浸透しているようだ。今後も首位戦線を突っ走っていくだろうが、不安な要素が2点ある。

　まず、攻撃だ。

　FWレアンドロと小川慶治朗が怪我で戦線離脱中の影響もあるが、神戸にはこれといった攻撃の型がないのだ。

「攻撃は、基本的に個人技だけで型がないんです。最後の部分でのコンビネーションとか、シュートの場面での落ち着きとか、そういうところの質をもっと高めていかないと、浦和のような能力が高いチームに負けてしまう。ここに味方がおるっていうのを感覚的につかんで、もうちょい遊び心をもってやれたらもっと点が取れると思います」

　大森晃太郎は、苦い表情を浮かべてそう言った。

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