松山英樹、勝負を決める108mmBACK NUMBER
松山英樹、苦しかったマスターズ。
最終日のベストスコア67でも……。
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph byAFLO
posted2017/04/10 14:50
松山英樹にとってのマスターズは、パットに苦しめられ続けた4日間だった。それでも来年の出場権を確定する11位に入り、力の片鱗は示した。
ショットは徐々に上向いてきたが……。
難関の10番はフェアウェイを捉え、左足下がりの難しい傾斜地からピン2mへ。その第2打は圧巻だったが、それを沈めたバーディーパットも見事だった。
松山らしいゴルフが少しだけ垣間見え始めた。だが、グリーン上の苦戦は続き、11番では今日2度目の3パット。
13番のパー5では、復調を思わせるショットを見せた。ビッグドライブは右の傾斜でナイスキックしてフェアウェイの前方へ跳ね出ていった。ピン右サイドからグリーンの傾斜を使ってピン5mに寄せた第2打は、これまた圧巻。しかし、イーグルパットはカップ左縁に止まった。15番も第2打でピン3m半を捉えたが、イーグルパットはやはりカップの左縁に無情にとどまった。
パットは「応急処置ができるレベルではない」。
アイアンショットのキレは終盤に向かって増していった。17番はピン1mに付けて今日7つ目のバーディー。
72ホール目はグリーン右手前から寄せた3打目がカップに入りそうで入らずパーでフィニッシュしたが、5つ伸ばした67は最終日のベストスコア。通算1アンダーで終わってみれば11位まで順位を上げたことは、世界4位でオーガスタへやってきた松山のせめてものプライドだった。
しかし、松山の表情は強張っていた。
「ティショットは安定していた。アイアンもチャンスに付けていた」
ショットが徐々に上向いたことだけは、少しだけ彼自身の安堵にはなっていた。だが、「次の試合会場に行くと(また)悪くなる。続かない。応急処置ではなく、しっかりしたものを作りたい」。そして、最後まで苦戦してきたパットは「応急処置ができるレベルではない」。
技術面がそんな状態でマスターズ優勝を狙うことなど、できるはずはない――それは、松山の完全なる敗戦宣言だった。