松山英樹、勝負を決める108mmBACK NUMBER
松山英樹、苦しかったマスターズ。
最終日のベストスコア67でも……。
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph byAFLO
posted2017/04/10 14:50
松山英樹にとってのマスターズは、パットに苦しめられ続けた4日間だった。それでも来年の出場権を確定する11位に入り、力の片鱗は示した。
年末のパッティングができれば勝つ自信はあった。
昨秋から日本、上海、バハマで挙げた勝利の数々。そして今春のフェニックス・オープンで華々しく2連覇も達成。米ツアー4勝を挙げ、世界ランキング4位に付けたあのころの好調なゴルフを維持したまま、マスターズを迎えたかった。
「去年の年末ぐらいのパッティングができれば、絶対勝てる自信がある。調子を落とさなければ、いい感じだった」
しかし、一番開花させたいときに、開けば大輪だったはずの花のつぼみを逆に固く萎ませてしまった。
「それが実力なんで――」
ピークを合わせたいときに合わせる難しさ。敗因は、そこにあった。
ただ、それでもなお大きな疑問は残る。フェニックス・オープンで優勝し、あんなに好調だった松山のゴルフが、その翌々週に出場したジェネシス・オープン以降、突然の不調へと激変していったのは、なぜだったのか。
そして、押し寄せてきた不調の波を堰き止めたり、押し返したり、できなかったのは、なぜだったのか。
その答えを一番知りたいのは松山自身に違いなく、その答えが見つけられなかったからこそ、勝利を渇望してきたマスターズで悔しさを味わう結果になってしまったのだ。
優勝以外はすべて「悔しいんじゃないですかね」。
松山にとってマスターズで優勝することは少年のころからの夢。優勝以外はすべて悔しい結果なのかと尋ねてみたら、返答をはぐらかし気味だった松山が「悔しいんじゃないですかね」と、感情を言葉に変えた。
優勝だけを目指してきた。優勝だけを目指していく。その気持ちのままに突っ走りたいと感じているときは、寝ても覚めてもクラブを握る松山のはず。今までは、いつだってそうだったはず。