話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
ユース時代、小野裕二は伝説だった。
鳥栖で突出した存在感を発揮せよ。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2017/04/07 11:40
欧州からJに戻ってきた小野裕二だが、挑戦が失敗に終わったわけではない。Jを驚かせるプレーが見たい。
FWでなくインサイドハーフだからなのか?
柳沢敦や高原直泰らのように、欧州から帰国した選手が日本のサッカーにフィットするのに時間を要するケースがある。小野もその“病”かと思いきや、「日本でやっていた時のポジション(FW)と今はイメージが違うと思うし、サッカーという意味ではどこの国にいっても変わらない」と、本人は否定した。
ベルギーでもインサイドハーフでプレーしていたことがあり、そういう意味では小野に違和感はなかったのだろう。
しかし、見せ場はほとんどなかった。FC東京の守備は前半4分の失点でけっこうガタついていただけに、積極的に仕掛ければもっとチャンスを作れたはずだ。後半はDFラインが下がって守備に追われる時間が長く、間延びした中では攻撃の部分で変化をつけることが難しくなった。得意の仕掛けでスタジアムを沸かせることができず、シュートはわずかに1本のみ。後半20分に退いた。
「もうちょい押し込めれば自分がペナルティエリアの外とかでシュートを打てるんですけど、今日は押し込む時間がなかったし、守る時間が多かった。基本的に僕があそこのポジション(右インサイドハーフ)に入った時は、攻撃でボールを回す時に違いを見せることができればいいかなと思っていますが、これからもっと良くしていきたい」
独力というより、周りを生かす意識。
小野本人の手応えも、まだまだというところだ。まだ3試合目、周囲と阿吽の呼吸でプレーするのは難しい。そのせいもあるのか、味方の選手を活かそうと周囲に気を使ってプレーしているのが見て取れた。
「今は力(原川)と大地(鎌田)の3人でしっかりと真ん中でパスをつないでいくのを意識しています。だれかが裏に抜けたり、ボールを受けに来たり、流動的に動けるようになると、相手はどうマークしたらいいのか分からなくなる。大地が前を向いている時は、クオリティを持っているしボールを取られないけど、後を向いている時は自分が近くにいてボールを受けて、もう1回渡して前を向かせてあげたい。そうすればいいパスが出てくるので自分がスプリントして前に出ていけばいい。その回数を増やしたいけど、今日は少なかったですね」