話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
ユース時代、小野裕二は伝説だった。
鳥栖で突出した存在感を発揮せよ。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2017/04/07 11:40
欧州からJに戻ってきた小野裕二だが、挑戦が失敗に終わったわけではない。Jを驚かせるプレーが見たい。
久保裕也のブレイクには衝撃を受けている。
最近は、また大きな刺激を得られた。
スイスからベルギーのヘントに移籍した久保裕也が3月のロシアW杯最終予選のUAE戦、タイ戦の2試合で2得点3アシストと活躍し、勝利に貢献した。ヘントでも7試合で5得点とブレイク中だ。
「僕はベルギーでいい結果を得られなかったけど、彼が活躍しているのは刺激になりますね。きっと浮かれることはないと思いますけど、ベルギーで活躍をつづけて日本人の価値を高めていってもらいたいです」
久保はひとつ下のリオ世代だが、同世代の活躍も小野にとって大きなモチベーションになっている。カテゴリー別の代表で一緒にプレーしたロンドン世代の清武弘嗣、山口蛍、大迫勇也、原口元気らが日本代表でプレーする姿を見て、気持ちが揺り動かされた。
「海外に行って同じタイミングで戻ってきたキヨ君(清武)とか、他選手もみんな頑張っている。ただ、今の自分がしないといけないのは、このチームで試合に出て、このチームの勝利のためにプレーすること。その先に日本代表があると思うんで、まずは本当にこのチームを勝たせられるように、いいトレーニングをしていい状態で試合に臨めるようにしていきたい」
攻撃力はもちろんアジリティに優れ、フィジカルコンタクトも強い。守備力もある。自らのトップフォームを取り戻せば日本代表という道も開けてくるだろう。
とはいえ、鳥栖での挑戦はまだ始まったばかり。「いろんな経験をして学ぶことが多かったんで、それを今後のサッカー人生に活かすことができればいいと思います」と殊勝な姿勢を見せる小野だが、「空白の4年間」の経験を本当に活かすなら日本人の中に埋没せず、外国人選手のように突出した存在感を見せるべきだろう。そうしてパーソナルや意識の部分で成長したところをプレーに還元し、結果を出してほしい。
小野なら2度目の伝説を創れるはずだ。