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イチローは今回のWBCをどう見たか?
真の世界一決定戦に絶対必要な条件。
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph byGetty Images
posted2017/03/28 17:00
マーリンズがキャンプを行なうフロリダ州ジュピターにて。開幕に向けて、準備は上々である。
「米国のために出場したい」という選手だけで戦う。
今回、初優勝を果たした米国チームはジョー・トーリGMとジム・リーランド監督のMLB通算4095勝監督コンビが選手と個人面談を行い「米国のために出場したい」と直訴した選手だけで戦い、悲願を果たした。
これこそ、イチローが求める理想のスタイルだった。
確かに選手たちは所属球団から高額なサラリーをもらっている。その責任をシーズンで果たすのが大前提であることは言うまでもない。
スプリングトレーニングの時期にWBCで全身全霊を傾けたプレーが怪我に直結する可能性は低くない。出場辞退する選手が多いのは仕方のないことでもある。
メジャー生活16年間でたった一度の故障者リスト入り。
'06年と'09年。イチローは自らの意思で出場した。
日本の世界一のために尽くしたいという強い思いからだ。
同時に3月の全力プレーがシーズンに影響を及ぼさないという自信もあった。そして、出場選手全員の強い思いで日本は連覇を果たした。
だが、イチローには代償もあった。
'09年の大会終了後、極度の精神的疲労から出血性胃潰瘍が見つかり、開幕から8試合を欠場した。
後にも先にもメジャー16年間でたった一度の故障者リスト入り。
以降、イチローが日本のために出場していない理由はここにあると個人的には思っている。