イチ流に触れてBACK NUMBER
イチローは今回のWBCをどう見たか?
真の世界一決定戦に絶対必要な条件。
posted2017/03/28 17:00
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph by
Getty Images
WBC米国優勝から一夜明けた3月23日。
フロリダ州ジュピターのキャンプ地クラブハウスでいつもよりちょっぴり熱く語るイチローの姿があった。
「クルーズ(ドミニカ共和国代表)は『この大会が本当のワールドシリーズだ』と話していた。そんな選手が出てきたり、感情を理性でコントロールできないでプレーしている姿を見たら、MLBが大切に育てようと思ったら、絶対にそういう大会になり得る可能性を感じた大会だった」
イチローが話す“そういう大会”とは、言うまでもなく真の“世界一決定戦”だ。
過去3大会も世界一になりたいという思いを強く持ち、国のために懸命に戦った選手は多くいた。その気持ちが勝った証しが日本の連覇であり、前回のドミニカ共和国優勝だった。
だが、今大会はイチローの言う通り、過去3大会に比べ明らかに各国の選手たちの熱量は高かった。
強豪国の選手の意識が、ガラッと変わっていた。
米国で主軸を務めた2年連続二冠王・ノーラン・アレナド(ロッキーズ)は、一塁へ執念のヘッドスライディングを見せた。
ワンプレーに一喜一憂し、雄叫びを上げる選手はどの国にもいた。
まるでポストシーズンの10月のような戦いを3月のスプリングトレーニングの時期に見ることができたのである。
各国の選手の意識の変化は疑いようがなかった。