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「オレの方が、より新日本プロレスだ」
オカダに挑む柴田勝頼の危険な香り。
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2017/03/29 08:00
アントニオ猪木、柴田勝久、そして、その流れを組む“純血ストロングスタイル”の柴田勝頼。
「親父の時代から。生まれた時から新日本プロレス」
「生え抜きにしかわからない意地がある」と柴田は言う。
生え抜きという言葉は正しくはないが、そういう気持ちだ、ということだろう。
「オレは新日本を一度やめているけれど、オレはずっとプロレスラーでいた。
親父の時代から流れている血、遺伝子が新日本プロレス。オレは生まれた時から新日本プロレスなんですよ。そこはひっくり返そうとしても誰も変えられない」
新日本プロレスの戦いが変わっていく中で、柴田は新日本の原点である猪木のスタイルを貫く。バックドロップにもっていくとき、相手の引き抜き方は猪木にそっくりだ。指先も、コブラツイストも猪木を見ているようだ。そして、忘れかけていた危険な香りがその体からプンプンと漂っている。
「オカダと戦えることは楽しみですよ。オカダの(レインメーカーでない)素の部分をどれだけ引き出して、オレの土俵で試合をやれるか、それがオレの中でのすごい楽しみなんです」
「マスクマンじゃないのにマスクマンみたいだ」
柴田は、オカダのことを「マスクマンじゃないのにマスクマンみたいだ」と評する。
ある意味、感情を出さない“レインメーカー”というキャラクターが自分と正反対の立ち位置にいて、新日本プロレスの象徴であるIWGPのベルトを巻いているという現実を真っ向から受け止めて対峙する。
柴田にとっては「オレの方が、より新日本プロレスだ」という思いなのだ。