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なでしこジャパンは生まれ変われるか?
横山久美、長谷川唯ら新世代の通信簿。
text by
日々野真理Mari Hibino
photograph byGetty Images
posted2017/03/26 08:00
体格で大きく勝るオランダ代表選手と競り合う長谷川唯。その技術と俊敏性は、世界でも十分通用した。
横山久美という、新時代のエース。
その1人が、4試合で4得点を決めてみせた横山久美。
1試合1得点を今大会の目標に掲げていた横山は、「得点できていない試合もあるし、自分のゴールでチームを勝たせられなかったことが悔しい」と、ゴールを決めたことの喜びよりも、悔しさを口にした。その姿勢こそが、代表への思いの強さ、代表のエースとなるための成長の証なのではないだろうか。
彼女が代表への思いを強くしたのは、2年前のアルガルベカップに招集されてからのこと。所属クラブ(AC長野パルセイロ・レディース)の本田美登里監督は、その変化を感じたという。
「横山は、それまで自分の代表としての照準を東京五輪だと考えていた。ところが、代表から帰ってきて以降は、それがリオ五輪に変わったのです。目標を前倒しにしたことで、いろいろな変化が見られるようになりました」
それ以降の横山は、“練習前に走る”ことを続けているという。そうしてスタミナ面での課題も、試合に出続けることで克服してきた。本田監督は、「試合中、横山が途中でへばっているなと思っても、交代させませんから」と笑う。
4試合4ゴールという成果と、その裏にある努力。
昨年のリオ五輪予選で悔しさを味わった後は、更に意識が高まった。
食事にも工夫を加え、ピーク時から数えると約10キロも体重を落としたこともあるという。
さらには、代表の先輩でもある永里優季からの「代表でやるなら、左右蹴れたら武器になるから」というアドバイスのもと、左足のシュートを懸命に磨き続けた。大会中の練習でも、一番最初にグラウンドに出てきて走り、最後までシュート練習を続ける姿が連日見られた。
そのシュート練習では、しっかり“左足”に取り組んでいる光景が見られた。意識の変化、数々の積み重ねた努力が、4試合で4ゴールという数字でしっかりと証明された。しかも、4つのゴールのうち1つは、左で決めている。
一見豪快なイメージの横山だが、信じたものにまっすぐコツコツ取り組める姿勢こそが、彼女の強みでもある。