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なでしこジャパンは生まれ変われるか?
横山久美、長谷川唯ら新世代の通信簿。
text by
日々野真理Mari Hibino
photograph byGetty Images
posted2017/03/26 08:00
体格で大きく勝るオランダ代表選手と競り合う長谷川唯。その技術と俊敏性は、世界でも十分通用した。
ついにブレイクした、20歳の長谷川唯。
更に、代表デビューとなった選手たちの活躍は、チームに刺激を与えた。
高倉監督になり、より多くの新戦力が代表に招集されるようになった。今大会でも、昨年のU-20W杯メンバーから3人が招集され、ますます競争も激しくなった。
中でも光ったのはU-17代表、U-20代表と高倉監督のもとで長年プレーをしてきた20歳の長谷川唯。
U-20W杯を終えて、いよいよなでしこジャパン入りを果たした選手の1人だ。代表スタメンデビューを果たした2戦目のアイスランド戦では2ゴールをあげる活躍を見せ、初戦のスペイン戦に負けて沈んでいたチームに刺激を与えた。
積極的にしかける、まずはゴールを狙う――。
シンプルなことだが、その姿に刺激をうける選手も多く、特に長谷川の少し上の世代の中に、「私も!」と、気持ちを奮い立たせる選手が増えた。
代表歴13年目となる宇津木瑠美の存在感。
もうひとつ、この大会では、大きな気づきがあった。
新しいチームを作る中で、忘れてしまっていたことがあるというのは、代表歴13年目で、現在もチームの中心的存在の宇津木瑠美。状態は万全ではないながらも、やはり存在感を見せた大会でもあった。
「私たちは今、新しいものを作ろうとしている過程です。ただ、佐々木(則夫)さんと長年作ってきたものを無いものとして、新しく何かを作らなくてはという意識だけが働いてしまっていた。
日本の持ついいところを今のチームにも反映していかなくてはいけない。すべてをゼロにしてしまうのは、日本にとってよくないことですから。
世界に勝る日本のいいところ、強み、私たちが引き継いできたものを、伝えてつないでいくことを忘れてはいけないと改めて思いました。いいところを持っている選手が集まっているわけだから、お互いのいいところを出し合えるような関係を作っていくことが大事だと思っています」
これまでは中堅と呼ばれていた選手たちは、もうこのチームではリーダーとならなくてはいけない。つながれてきたものを、さらに先へとつなぐ役目を今求められている。