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古賀紗理那、五輪落選からの復活。
きっかけは木村沙織と仲間の言葉。
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph byKyodo News
posted2017/03/22 17:00
レセプションの成功率は昨年から10%近く上昇した。古賀紗理那が代表に帰って来る日も近いはずだ。
ラリー中にトスを呼び、バックアタックにも入る。
そして地道に取り組んできた成果を、最も顕著に感じられたのが決勝だ。
サーブに続いて「苦手」と眉をひそめることが多かったブロック。だが優勝を決める大一番で、古賀は久光製薬のミドルブロッカーのマヤ・トカルスカの速攻を立て続けに1枚で止め、流れを引き寄せた。
「体幹がめっちゃ強くなったな、って自分でも感じます。だからブロックでも軸がブレない。前だったら飛ばされていたボールも、しっかり抑えられるようになった。ちゃんとトレーニングをしてよかったなってものすごく思いました」
NECでは3年目の今シーズン、山田晃豊監督も「すでにチームの軸となりつつある」と言うように、ラリー中もトスを呼び、タイムアウト時には「私に持ってきて下さい」と言い、前衛だけでなくバックアタックにも入る。昨季まではセッターのトスに対しても「何でも大丈夫です」と受け身だったが、今季は試合中にも「もう少し高くして下さい」と要求するなど積極的な姿が見て取れた。
引っ込み思案で、いつも誰かの陰に隠れていた古賀が、変わろう、変わらなきゃ、と切磋琢磨する姿を、一番近くで見て来た同じレフトの近江が言った。
「高卒の2年目でまだ若いんですけど、いっぱいサーブで狙われても大崩れすることなく全試合出切った。紗理那にMVPをあげたいです」
誰かの後ろをついて行くのではなく。
誰かの後ろをついて行くのではなく、自分が先頭に立って取りに行く。強い覚悟と共に戦い抜き、頂点に立った。
「ずっと出続けてしんどかったですけど、(前回優勝した)2年前とは全然違う。本当に『日本一を獲った』っていう気がします」
泣くだけ泣いて、笑顔がはじける。逞しさと自信を胸に。壁を乗り越えた先に、世界との戦いが待っている。