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古賀紗理那、五輪落選からの復活。
きっかけは木村沙織と仲間の言葉。
posted2017/03/22 17:00
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph by
Kyodo News
優勝まであと1点。
V・プレミアリーグ女子大会決勝、14-6とNECレッドロケッツが大きくリードして迎えた最終セット。サーバーは古賀紗理那。
16歳で日本代表に入ったばかりの頃はサーブが苦手で「絶対チャンスにしかならないから、打つのが嫌なんです」と苦笑いしていた面影はもうない。
ふーっと息を吐き、短い助走から高い打点でボールを打つ。受ける久光製薬スプリングスは新鍋理沙がレフトからスパイクを放つも、NECのブロックがワンタッチしてボールをつなげ、セッターの山口かなめはレフトの近江あかりにトス。2枚ブロックに対して「気迫で押し込んだ」という近江のストレートに放ったスパイクが決まり、15-6。
連日のフルセットを制したNECが2年ぶり6度目の優勝を飾り、コートで歓喜の輪をつくる。
込み上げる喜びと、安堵。
古賀は両手で顔を覆い、泣き続けた。
リオ五輪に出られると、誰もが信じていた。
熊本信愛女学院高在学中の2013年に日本代表へ初選出され、'15年のワールドカップでは主軸を担い、サーブレシーブやスパイクで、次世代を担う若きエース候補の名に恥じぬ堂々としたプレーを見せた。
翌年の5月に開催されたリオデジャネイロ五輪世界最終予選のメンバーにも選出され、そのまま8月のリオ五輪へ出場するものと誰もが信じて疑わずにいた。
だが、6月27日に眞鍋政義・前全日本女子監督が発表した五輪出場12名の中に、古賀の名前はなかった。
サーブレシーブが不安定だったことや、攻撃面でもリオ五輪最終予選では力を発揮できなかったこと。落選には理由があり、眞鍋監督から「今回は残念だけれど」と告げられた時も、ショックは受けたがどこか淡々とした気持ちで「そうなのか」と受け入れた。