球道雑記BACK NUMBER
一番倒したい選手は大谷翔平。
ロッテ高野圭佑、プロ2年目の野望。
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byKyodo News
posted2017/03/18 11:00
昨季、プロ初勝利を成し遂げ、ヒーローインタビューで角中に称えられ、ポーズをとった高野。
大谷は崩された中でも対応する打撃ができる。
「たとえばストレートで相手の目を慣らしていって、そこでピュッとフォークなどの抜いた球を投げれば、たいていのバッターは体が崩されると思うんです。だけど、大谷選手は崩された中でも対応するバッティングが出来る。あれをされるとピッチャーからすればたまったものじゃないんですけど、あの崩されながら打っている、それをもっと崩してやりたいって気持ちが僕はあるんです」
その言葉どおり、昨年8月24日の対戦では7回表に空振り三振を奪っている。昨年の両者の対戦はこの1戦を含めて2回のみだが、今後も続いていくだろう2人の対戦で、高野がどんな思考で、どんな投球を見せるのか楽しみでもある。
さらに今季は、自身最大の武器であるストレートを、より活かすため球速を少し抜いたボールにチャレンジしている。
彼曰く“曲がらないツーシーム”。
春季キャンプ期間中に行われた紅白戦ではそれを何度か試投しているが、「まだ曲がり過ぎる」という点で自分にダメ出しをした。
「動いたか、動いていないか分からないくらいのツーシームを投げたいんです」
相手打者からすれば真っすぐを打ちに来たはずが、ほんの少し芯をはずされた形。モノに出来れば彼が武器とするストレートをより活かすことが出来るだろう。
空気を読むのではなく、自分から先に行動する男。
一昨年の千葉ロッテ新入団発表会では、ロッテ本社が用意した宣伝用の大きな絵馬に「世界一の強運」と、誰よりも素早く夢を書き記す行動力も見せた。
並の新人なら周囲の空気を窺って、ドギマギしていそうなものだが、そうした状況下でも自分の信念を変えることなく、満点に近い答えで周囲の期待に応える――マウンドで物怖じしない性格も、こうした部分と少なからず関係しているように思える。