プロ野球亭日乗BACK NUMBER
則本と牧田の登板順を徹底検証!
9回と11回は必要な能力が違う?
posted2017/03/13 11:45
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Hideki Sugiyama
大会史上初のタイブレークに突入したオランダ戦。
先攻の侍ジャパンは延長11回無死一、二塁から鈴木誠也(広島)がきっちり送って走者を進めると中田翔(日本ハム)が左前に決勝の適時打を放って2点をリード。その裏のオランダの反撃を牧田和久(西武)が凌ぎ、4時間46分の総力戦を制して、準決勝進出へ大きく前進した。
「死闘です。勝ちたいという執念だけ。最後まで諦めなかった勝利でした。オランダ打線はもの凄い破壊力だった」
試合終了は午後11時54分。
お立ち台に上がって歓喜のはずの小久保裕紀監督は、疲れ果てた表情で、こう言葉を絞り出した。
「抑えは牧田」のはずが、なぜ則本だったのか?
まさに、いくら語っても語りつくせないような激闘だったが、その中で試合の大きな焦点となったのが、9投手をつぎ込んだ継投、特に1点をリードの9回から牧田ではなく則本昂大(楽天)をクローザー投入した采配だった。
試合は序盤から点を取ったら取り返される展開だったが、日本は5回にこの大会のラッキーボーイ・小林誠司(巨人)の勝ち越し中前適時打で1点をリードすると、この虎の子を守るために細かな継投に入った。
3回で先発の石川歩(ロッテ)を諦めると、同点の4回には平野佳寿(オリックス)で相手の流れを止め、リードした5回からは千賀滉大(ソフトバンク)を2イニング投入。その後は松井裕樹(楽天)、秋吉亮(ヤクルト)、宮西尚生(日本ハム)と繋いで、その宮西が8回1死満塁のピンチを招くと、増井浩俊(日本ハム)を送って、何とかオランダの猛攻を凌いだ。
そうして迎えた9回。指揮官がマウンドに送ったのは、「抑えは牧田」と公言していたサブマリンではなく、則本だったのだ。