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神戸は本当に優勝に絡んでくるのか。
ネルシーニョ「私は後手を踏まない」
posted2017/02/23 07:30
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
「この人、何かやってくれそうだな」
Jリーグには今シーズン57名もの監督がいるが、そうした期待感を膨らませてくれる監督はなかなかいない。
ただ中には、言葉から滲み出る強い信念と自信とともに、そういうオーラを放つ監督もいる。ヴィッセル神戸のネルシーニョ監督は、そのひとりだろう。
1985年からコーチ業を始め、国内外で指揮を執り、2015年に就任した神戸で30チーム目になる。日本では1995年にヴェルディ川崎の監督となり、2003年から2年間、名古屋を率いた。2009年途中から柏レイソルで指揮を執り、2010年にJ2優勝、2011年にJ1優勝という偉業を達成している。
個人的にネルシーニョで強く印象に残っているのが、1995年の「腐ったミカン」発言だ。当時、加藤久強化委員長がフランスW杯で勝つためにネルシーニョを日本代表監督に推したが、当時の長沼健サッカー協会会長が拒否。契約内定までいったが突然、梯子を外されたネルシーニョが激昂し、サッカー協会に向けて放った言葉だった。
もっとも当時のサッカーファンは、加茂周監督の続投よりもネルシーニョを支持していたと思う。そこにあったのは、閉塞的な状況を変えてくれるかもしれないという期待感だったのだ。
昨年の2ndステージは2位、上を目指す土台はある。
今回もネルシーニョ就任で期待感が膨らんだのは、地道なチーム作りと充実した戦力補強で“万年中位”と言われた神戸を、大きく変えようとする強い意志がみえたからだ。
昨シーズンの神戸は、1stステージが12位、2ndステージでは2位になり、総合順位は7位だった。年間順位が上がりきらなかったのは、ネルシーニョ監督曰く「1stステージで調子の波が大きかったのが影響した」ということだが、それでも橋本和とニウトンを補強して2ndステージ躍進につなげている。シーズン途中で獲得した選手が活躍するか否かはバクチの要素があるが、自ら人材を見定め、大きな戦力に転換させたのは監督の優れた眼力と手腕に他ならない。