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WBCとエリック・ガニエ。
「昔の名前」を楽しみたい。
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byGetty Images
posted2017/02/18 11:00
2010年に引退したエリック・ガニエだが、2015、2016年はカナダのリーグで登板している。どんな投球をWBCで見せてくれるのだろうか。
第3回はコーチ、そして今回は再び投手として!
つぎに彼の名を耳にしたのは、第3回WBCの予選('12年9月)で、フランス代表のピッチング・コーチをつとめたときだ。フランスは予選を突破できなかったが、ガニエは'13年秋に代表監督に任命され、'14年の欧州選手権では6位に入っている。
そして今回のWBC。ガニエはふたたびフランスを率いてパナマでの予選に挑み、またしても苦汁を飲まされた。予選開催国のパナマも敗れ、本選出場権を得たのはコロンビアだった。
するとガニエは、故国カナダの投手として登録メンバーに名を連ねたのだ。今年41歳。カナダが入ったプールCには、強敵アメリカとドミニカ共和国が同居している。もう1チームは、因縁のコロンビア。ここもフリオ・テイラン(ブレーヴス)やホゼ・キンターナ(ホワイトソックス)を加えて、侮れない存在となった。カナダには、フレディ・フリーマン(ブレーヴス)を筆頭に、所属チームの40人枠に入っている現役大リーガーが6人と、現在FAのジャスティン・モーノー(35歳)がいるだけに、勝ち抜き争いの一角になんとか食い込みたいところだ。2014年に大リーグを去ったライアン・デムスター(39歳)も、ガニエ同様、カナダ代表のメンタル部分を支える役割を果たすのではないか。
プエルトリコや中国にも懐かしい名前が。
懐かしい名前は、彼ら以外にも散見される。
プエルトリコには、J・C・ロメロ(40歳)とジョエル・ピニェイロ(38歳。指名投手枠)の名前がある。ロメロは、2012年までの14年間を大リーグで投げ、その後、'15年までマイナーリーグや独立リーグで投げつづけていた。イチローの同僚だったピニェイロも、2011年を最後に大リーグを去り、'15年までマイナーで投げていた。通算12年間で104勝をあげた実力者だけに、その右腕はまだまだ一見の価値があるはずだ。
ほかで眼につくのは、中国代表に入ったブルース・チェン(39歳)やオランダ代表のユニフォームを着たジャイーア・ジャージェンス(31歳)か。チェンはもともとパナマの代表だったが、今回は予選落ちしたため、中国の代表に加わった。大リーグ歴17年の投球術をいま一度振り返ってみたい。