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WBCとエリック・ガニエ。
「昔の名前」を楽しみたい。

posted2017/02/18 11:00

 
WBCとエリック・ガニエ。「昔の名前」を楽しみたい。<Number Web> photograph by Getty Images

2010年に引退したエリック・ガニエだが、2015、2016年はカナダのリーグで登板している。どんな投球をWBCで見せてくれるのだろうか。

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芝山幹郎

芝山幹郎Mikio Shibayama

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 2017WBCの開幕が、3月6日に迫った。参加16カ国のロースター(28人)は、2月8日に発表されている。ビッグネームの数もなかなか多い。MLBのオールスター経験者が63人で、そのうち26人は2016年のオールスター・ゲームに出場している。前回大会(2013年のときは45人だったから、にぎやかになったことはまちがいない。

 注目すべきビッグネームや、新たに設けられた投手の予備登録制度(指名投手制)については以前も述べたから、ここでは繰り返さない。日本代表から大谷翔平の名が消えたのは残念な限りだが、各国のメンバー表を眺めていると、意外な名前が見つかる。

 私が驚いたのは、カナダ代表にエリック・ガニエの名を見つけたときだ。

 古いファンには説明するまでもないが、ガニエは2000年代前半に、ドジャースの絶対的抑えとして活躍した投手だった。'02年から'04年までの3年間で152セーヴという数字も凄いが、記憶に鮮やかなのは、サイ・ヤング賞に輝いた'03年当時の超人的な投球だ。

 この年のガニエは、82回3分の1を投げて、自責点11の成績を残した。55セーヴをあげて、防御率は1.20。決め球は90マイル台後半のフォーシームと、フォークボール並みに落ちるヴァルカン・チェンジアップ。奪三振数も137個(三振奪取率=15.0)とめざましく、ドジャー・スタジアム左翼側のブルペンから彼が姿を現すだけで、球場が大きくどよめいたものだった。

野茂英雄が第2のピークを迎えていた年。

 ちなみにあの年は、34歳の野茂英雄がドジャースのエースだった。16勝13敗、防御率3.09の成績は、第2のピークと呼んで差し支えないだろう。ケヴィン・ブラウン(14勝9敗、防御率2.39)や石井一久(9勝7敗、防御率3.86)の姿も懐かしい。

 ガニエは、'08年のブルワーズを最後に大リーグの舞台を去った。ヒト成長ホルモンの検査で陽性が出たことも理由のひとつだろう。その後の彼は、母国カナダのケベックで投げたり、ドジャースの春季トレーニングに参加したりしていたが、往年の球威は戻らず、'10年4月に34歳で現役引退を発表した。

【次ページ】 第3回はコーチ、そして今回は再び投手として!

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