ドイツサッカーの裏の裏……って表だ!BACK NUMBER
「足が速い」プラス「判断も早い」。
浅野拓磨、ドイツで万能型に変貌!
text by
遠藤孝輔Kosuke Endo
photograph byAFLO
posted2017/02/08 11:00
シュツットガルトは第19節終了時点で2部首位に立った。昇格のためには主力の地位を固めた浅野の決定力向上に期待がかかる。
終盤になれば自慢のスピードで相手を置き去りに。
こうしたプレーを根底から支えているのは、浅野が日々磨いているトラップやパスといった基本技術だ。もちろん、頻繁に首を振って周囲のスペースや相手守備者との距離を確認するなど、ボールを引き出す前の準備に余念がないのも大きいだろう。
ここ2試合にかぎれば、守備の貢献度や運動量も抜群だった。高い位置でのボールホルダーへの寄せ、フルスプリントでの帰陣をサボらずにこなし、それらを90分間やり続けた。試合終盤にもパフォーマンスのレベルが落ちないのも印象的で、第19節のデュッセルドルフ戦では85分過ぎに相手ディフェンダーをスピードで置き去りにしている。
指揮官から課されたタスクを最後まで忠実にこなせる浅野が、ジュリアン・グリーンやカルロス・マネといった同僚のアタッカーとは異なり、試合終了までピッチに立つ機会が増えているのは偶然ではないだろう。
15試合で2得点、シュート成功率8.3%は課題だが……。
ただし、すべてが上手くいっているわけではない。大きな課題は決定力不足だ。シーズン前半から決定機をモノにできない場面が目立っていたが、ここ2試合は特にフィニッシュの精彩を欠いている。ゴール前では冷静さを失ってしまうのか、クサビのパスを受けるときのような余裕が感じられない。
国内リーグ15試合出場(プレータイムは998分)で計24本のシュートを放ち、ゴールを揺さぶったのはわずかに2回(シュート成功率は8.3パーセント)。アタッカーとしては物足りない数字を残している。現在のパフォーマンスレベルを維持しつつ、フィニッシュの精度を高められるかが、さらなる飛躍の鍵になるのは間違いない。
一方で、現状維持でもスタメンから外れる心配はなさそうだ。シュツットガルトを率いるハネス・ヴォルフ監督はデュッセルドルフ戦後、2-0の完勝を収めたチームを称えるだけでなく、浅野のパフォーマンスにもこう言及した。
「(得点チャンスがあったが)ボールが中に入らなかっただけさ。今のプレーを続けていれば、すぐにまたチャンスは訪れるだろう。彼は我々にとって非常に重要だよ」