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ハーデン&ロケッツ好調の理由。
NBAの“モーレイボール”って何?
text by
長澤壮太郎Sotaro Nagasawa
photograph byJoe Robbins/Getty Images
posted2017/02/07 11:30
ロケッツのエース、髭がトレードマークのジェームス・ハーデンは、2月19日開催のオールスターの先発メンバー。
数字オタクのGMが発明した、あまりにも奇妙な戦術!?
マイケル・ジョーダンからコービー・ブライアントまで、我々が夢中になって憧れたスーパースターが長年の歳月をかけ極めた聖域であるミドルレンジを、全く重要視しない“モーレイボール”。
いまでこそ各球団がアナリティクス部門を重要視しているが、当時はまだ多くの関係者や元選手からは、机上の空論扱いを受けた。
どんなに確率論を理詰めで展開しても、実際のアスリート達がぶつかり合うコート上は弱肉強食の世界。数字オタクのGMが、アスリート同士のケミストリーも理解しないで何ができるのだ、そんな声も少なくなかった。
球界の御意見番でもあるチャールズ・バークレーも「バスケを知らないオタクがチーム作りをしている球団」と厳しい意見を発していた。
奇妙な戦略が、ついに花開く時が来た!
モーレイはそれでも自分の信じたシステムを追求し、スリーポイント、ゴール下とフリースローにこだわり続けた。
難しく距離の長い2点よりも、同じ位の難度であれば一歩下がって3点を取る方が有利であると考え、それを実践した。だが、実際には当たる時と振るわない時の波があった。
奇跡が起きるまでは……。
その奇跡は2011-12シーズンに思わぬ形で巡ってきた。
前年度、オクラホマシティー・サンダーのファイナル進出の立役者となった“髭男”ジェームス・ハーデンが、残留を希望しながらも条件面でチームと揉めていた。
誰もが残留すると思っていた矢先に交渉は決裂し、モーレイは「ハーデンの獲得」という千載一遇のチャンスをものにしたのだ。