フランス・フットボール通信BACK NUMBER
W杯が48カ国に増えることについて、
世界最高のサッカー誌は、こう考える。
text by
エリック・シャンペルEric Champel
photograph byRICHARD MARTIN
posted2017/02/01 11:00
前回のブラジルW杯は、スタジアムやインフラ建設の問題などこそあれ、経済的には成功した、という評価がなされているらしいが……。
参加国拡大に強く反発した、欧州のビッグクラブ達。
評議会に参加した人物のなかで、最初に口を開いたのがアレクサンデル・チェフェリン(FIFA副会長、スロベニア)だった。
彼によれば、FIFAが準備した文書には想定された質問の答えがすべて書かれており、規模拡大に疑問を呈する理由は何もなかったという。
方式の変更に最も強く反対したのがヨーロッパだった。
欧州クラブ協会(ECA)は、「スポーツ以上に政治的な決断」と批判し、スペインプロリーグ機構(リーガ・エスパニョーラ)はこの問題をヨーロッパ委員会の競争担当委員の諮問にかけることを示唆した。
だが、それぞれの動きは孤立している。
ECAの声明は主にドイツのビッグクラブの主張を反映したもので、他のプロリーグの多くはそれぞれのカレンダーや経済モデルに抵触しないワールドカップの拡大に反対してはいない。
リーグ間の格差や不平等を隠すための工作なのか?
われわれの情報筋によれば、UEFAもまたこの変更から大きな利益を得る。
現在の13から16に出場枠が増えるうえに、すべて別のグループに振り分けられるから1次リーグでヨーロッパ勢同士の対戦が避けられる。つまり32枠の決勝トーナメントに16カ国すべてが進出できる可能性ができたわけで、ヨーロッパにとっては願ってもないことである。
あるエキスパートはこう語っている。
「ワールドカップの拡大は、クラブ間の格差やヨーロッパの幾つかのリーグとその他のリーグの不平等を隠ぺいし、やり過ごすための格好の隠れ蓑になっているように見える。『クラブサッカーは、ボスマン判決と誤ったグローバリゼーションですでに死んだ』と中小国に認めさせた上で、『代わりにこれをどうぞ』と差し出された飴なのではないか」
この意見、あながち間違ってはいないと思われる。