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矢島慎也「正直、すごく悩んだ」
浦和復帰、柏木への挑戦が始まる。
text by
杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2017/01/18 11:00
浦和ユース育ちの矢島慎也は、サポーターからの支持も根強い。ポジションを争う相手は強大だが、果たして結末は……。
ポジションを争うのは、10番・柏木陽介。
本人も成長を実感している。
ペトロヴィッチ監督の意向に従うと前置きした上で「手応えをつかんだので、ボランチで勝負したい」ときっぱり話す。言葉には自信がにじむ。浦和の場合、中盤の中央に並ぶ2人は攻撃と守備の役割分担されており、自ずとポジションを争うライバルも見えてくる。
立ちはだかるのは、指揮官が広島時代から重用し、チームの10番を託される柏木陽介。脂が乗る29歳の司令塔は、2016年はキャリア最高に近いパフォーマンスを披露したと言っていいほど充実している。
「陽介くんだけではない。どのポジションにも代表クラスがいるし、全員がライバルになる」と対抗心こそ直接口にしないが、ポジションへのこだわりからは、柏木に挑む意欲が十分に伝わってきた。
「タイトルを1つでも多く取ることが使命。大事なところで点を取りたい」とチームへの貢献を誓う。
かつては出場機会を失うリスクを考え、復帰することにためらいを覚えていたが、今やその面影はない。甘いマスクにも、たくましさが漂う。
「やっぱり埼スタ。浦和で育った選手なので」
風が冷たい1月11日の午後。新体制会見の写真撮影でガランとした静かな埼玉スタジアムの芝生に立ち、感慨にふけった。
真冬の寒さよりも、「サポーターはいなかったが、雰囲気を感じた」。
3年ぶりに復帰した決め手は、熱狂的な浦和サポーターがつくり出す空気。「やっぱり、あの埼スタでまたプレーしたいと思った。僕は浦和で育った選手なので」とクラブへの思いを噛みしめるように話す。
ユース時代に10番を背負っていた「浦和っ子」が、自らの存在価値を懸けて実績あるナンバー10に挑む。