野ボール横丁BACK NUMBER
清宮幸太郎は大人で、妙に可愛い。
「頭、ペシャンコじゃないですか?」
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byKyodo News
posted2016/12/29 12:00
チームではすでに最高学年になった清宮幸太郎。甲子園で彼を見られるチャンスは最大あと2回。1年時以上のフィーバーになるのは確実だ。
張り切っても、居直っても、どうにも可愛い。
28日の囲み取材では、自分で掬った質問だったということもあるのだろう、記者の方に耳を突き出し、丁寧に話を聞いた上で、蕩々と語り始めた。
ところが、話が長くなり過ぎ、途中でしどろもどろに。
「それが……まあ、あの……なんて言うんですかね、あんまり……う~ん、パニックになってきましたね」
挙げ句、「……ちょっと、もっかい、質問いいですか?」と苦笑い。
張り切り過ぎて墓穴を掘ってしまうという、そのおっちょこちょい振りに、報道陣は大爆笑に包まれる。
仕切り直しても、解答は、どこかちぐはぐなまま。顔なじみの記者にその失態を突っ込まれると、居直り気味に「ま、久々ですから」と高笑い(?)で締めくくった。
早実は、来春の選抜大会への出場がほぼ当確。高校1年夏に甲子園に出たとき以来の清宮フィーバーが巻き起こることが予想される中、周囲の大人たちはすでに戦々恐々としている。しかし、この男が醸し出す泰然としたムードだけは、おそらく不変だ。