甲子園の風BACK NUMBER
甲子園アルプス応援「シンバルで目玉焼きが作れる」やけど級の熱さ…現地記者が驚いた“その手があったか”の暑さ対策とは?「空調服が好評」
posted2023/08/16 11:01
text by
梅津有希子Yukiko Umetsu
photograph by
Yukiko Umetsu
選手が試合中に体を冷やす「クーリングタイム」など、さまざまな猛暑対策が施されている今夏の甲子園。吹奏楽部出身の筆者は、甲子園のブラバン応援取材を始めて10年目になるが、日陰のないアルプススタンドには容赦なく日差しが降り注ぐため、記録的酷暑の今年は特にこたえる。先日甲子園球場を運営する阪神電鉄から発表された「内野スタンドを覆う屋根『銀傘』をアルプススタンドまで拡張する」というプランが、一日も早く実現することを願うばかりだ。
朝8時の第1試合から、すでに猛烈な暑さのアルプススタンド。「ブラスバンド席」の吹奏楽部員を見ていると、おでこに貼る『冷えピタ』(冷却シート)や、たたくと冷たくなる『ヒヤロン』(冷却パック)、冷却スプレー、ミニ扇風機などの、街中でも見かける暑さ対策に加え、楽器を演奏する吹奏楽部ならではの工夫も見られた。代表的なのは以下6つ。ひとつずつ解説していこう。
シンバルが“やけど級”熱さ…どう防ぐ?
1 アームカバー
特に女子生徒の場合、日焼け対策もあるが、金管楽器やシンバル、グロッケン(鉄琴)など金属の楽器は日差しが当たることで非常に熱くなる。実際に楽器を触らせてもらったが、トランペットやホルン、ユーフォニアム、テューバなどは面積の広いベル(音が出る部分)が特に高温になり、ふと腕があたると「アチッ!」と叫ぶほど。特にシンバルや鉄琴はとても熱く、銅で出来ているシンバルは、目玉焼きが作れるくらい熱々のフライパン状態。くぼんでいる裏面にバターを敷いて溶き卵を注ぎ入れ、菜箸でかき回せばあっという間にスクランブルエッグが出来上がるはずだ。片付ける際に腕や脚などの肌にうっかり触れてしまうとやけどする可能性もあるため、演奏を担当する生徒たちは、皆細心の注意を払っていた。
2 手袋・軍手
汗で手がベタベタになると、滑って楽器を落としてしまう可能性があるため、滑り止めとしてコットンの手袋や軍手をはめる奏者が目立った。