月刊スポーツ新聞時評BACK NUMBER
「神ってる」は本当に流行ってる?
プチ鹿島、12月のスポーツ新聞時評。
text by
プチ鹿島Petit Kashima
photograph byKyodo News
posted2016/12/28 17:30
流行語大賞授賞式にて。左から「聖地巡礼」(ディップ株式会社)、「ゲス不倫」(週刊文春編集部)、「神ってる」(鈴木誠也)、「保育園落ちた日本死ね」(民進党・山尾志桜里)。
さすがにこのタイトルは古いのではないか、と。
あのFAXの文面をもう一度読んでみた。
「この仕事をする上で人には絶対知られたくないセクシャリティな部分もクローズアップされてしまい、このまま間違った情報が拡がり続ける事に言葉では言い表せないような不安と恐怖と絶望感に押しつぶされそうです」
このなかの「絶対知られたくないセクシャリティな部分」を、わざわざ大きく「ゲイ告白」と書いたスポニチ。
ADVERTISEMENT
先ほどスポーツ新聞は伝統的な価値観と相性がいいと書いた。つまりオヤジと親和性が高い。
私はそういうスポーツ新聞のキャラを“オヤジジャーナル”と名付けて楽しむのが好きだけど、今回の「ゲイ告白」という見出しの陳列はさすがに古いと思った。もう、性に関する他人との違いを大騒ぎする時代ではないだろうに。
「神ってる」って本当に流行ってたのか?
スポーツ新聞の大仰芸とポリティカル・コレクトネスが並行して存在する現在。私はスポーツ新聞が好きだから、大仰さがなくなったらつまらないとも思う。バランスを保ちつつ、魅力をどう失わずにいくか。スポーツ新聞はけっこうな重要局面を迎えていると感じる。
では、オヤジジャーナルの大仰さのホッとするほうを紹介しよう。
なんと言っても「新語・流行語大賞」である。
ユーキャンが発表するこの賞は、最近ではすっかりツッコミ物件となった。
今年の大賞は「神ってる」。
広島カープの鈴木誠也選手が、その活躍を緒方孝市監督からたたえられた言葉。
大賞が発表されるや、とくにネットを中心に「そんなの流行ったのか?」というツッコミが発生した。
しかし「神ってる」は間違いなく流行っていたんです。そう、スポーツ新聞では。