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「神ってる」被弾で慢心が消えた。
オリ守護神・平野佳寿の復活劇。 

text by

米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2016/12/29 07:00

「神ってる」被弾で慢心が消えた。オリ守護神・平野佳寿の復活劇。<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

開幕当初はセットアッパーだった平野は、最終的に4年連続2けたセーブをマーク。通算セーブ数を127にまで伸ばした。

守護神・平野佳寿の復活は明るい材料の一つ。

 苦しいシーズンではあったが、来年に向けて、投手陣には明るい材料も多い。一つは、守護神・平野佳寿の復活だ。

 平野は2010年から5年連続で60試合以上に登板し、'14年には当時リーグ新記録となる40セーブを達成した。その年は主に比嘉幹貴や岸田護、馬原孝浩から佐藤達也、平野とつなぐ勝利の方程式が盤石で、7回までにリードを奪えばほぼ勝ち、という状態だった。

 しかし'15年、平野は4月に右足首の故障で離脱すると、復帰後もなかなか本来のピッチングを取り戻すことができず、33試合の登板で防御率4点台に終わった。それだけに、「今年は絶対に取り返す」と'16年にかける思いはひとしおだった。その思いを実現させるために、昨オフは体を絞った。

「体を大きくする必要はない」と7kg減量が奏功。

「ちょっと、自分の中で甘えているところがあった。今年に向けては自主トレからしっかりと自分の体を作ることに専念して、故障しないように、そしてしっかりキレを出せるように、体重を落としました。僕はあまり体を大きくする必要はないと思っているので。そのせいで今年は、去年や一昨年よりもまっすぐがよくなったのかなと思います」

 多い時で94kgほどあった体重を、今年は87kgほどに絞って臨んだ。開幕こそ、オープン戦で好投を見せたコーディエに守護神の座を譲り、セットアッパーとしてスタートしたが、そのコーディエが失敗を繰り返したことで、すぐに平野は定位置に戻った。

 さらにもう一つ、平野が本来の姿を取り戻すきっかけがあった。6月17~19日の広島3連戦である。

【次ページ】 「神ってる」鈴木にサヨナラ弾を浴びた平野。

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