猛牛のささやきBACK NUMBER
「神ってる」被弾で慢心が消えた。
オリ守護神・平野佳寿の復活劇。
posted2016/12/29 07:00
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
Kiichi Matsumoto
最下位に終わった、オリックスの2016年。開幕直後のつまずきが、この順位に直結したと言っても過言ではない。
開幕投手はエース・金子千尋だった。金子としては物足りないものの、本調子ではない中でなんとか試合を作り、チームは9回表に1点を勝ち越し、4-3で開幕戦勝利に王手をかけていた。しかしその裏、クローザーに据えた新外国人のエリック・コーディエが乱調。
2点を奪われサヨナラ負けを喫した。翌日は、5点リードをひっくり返されて逆転負け。3戦目に辛くも初勝利を挙げたが、守備の乱れが投手陣の足を引っ張ったこともあり、1つ勝っては連敗の繰り返しで、開幕13試合目で早くも7個の借金を背負うこととなった。その間、二桁失点が4試合と、投手陣が崩壊していた。シーズン後半に立て直したものの、時すでに遅し、だった。
エース金子千尋も「どうしても力んで」しまった。
一昨年の14年に12球団トップの防御率(2.89)を誇ったオリックス投手陣が、今年はリーグ最下位の防御率(4.18)に終わった。
金子は開幕から5戦未勝利と苦しみ、「勝てていないから、どうしても力んでしまうところがある」と語っていた。たらればになるが、もしも開幕戦で逃げ切れていれば、その後の流れも変わっていたかもしれない。
毎年、「開幕に合わせるわけじゃない」と言い続けていた金子が、今オフの契約更改後の記者会見ではこう語った。
「今まではシーズン後半に失速せずにしっかり成績を残したいと思っていて、極端に言うと、開幕当初は80%ぐらいで、徐々に上がっていけばいいかな、という気持ちだった。でも来年は開幕で100%に持っていけるように調整できたらと思っています。
やっぱり去年と今年、序盤につまずくと難しいなと改めて思ったので。'14年は僕じゃなく西(勇輝)でしたけど、西が開幕から連勝した。そういうピッチャーが1人でも多くなればチーム状況もよくなる。だから僕がそうなれるようにと思っています」
'14年は西が開幕から8連勝してチームを勢いに乗せ、その結果、シーズン最後まで福岡ソフトバンクと優勝争いを演じることができた。来年はエースが自らスタートダッシュの先頭に立つ覚悟だ。