錦織圭、頂への挑戦BACK NUMBER

「若い」「日本人初」「アジア初」の次。
2017年の錦織圭は何で驚かせてくれる? 

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山口奈緒美

山口奈緒美Naomi Yamaguchi

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photograph byHiromasa Mano

posted2016/12/26 08:00

「若い」「日本人初」「アジア初」の次。2017年の錦織圭は何で驚かせてくれる?<Number Web> photograph by Hiromasa Mano

今季最終戦となったツアーファイナルズでワウリンカに勝利し、思わずガッツポーズの錦織。

もっと気楽にやればグランドスラムも獲れるって!?

「ツアーでもこれくらいリラックスしてできればいいですけど、ほんとの試合ではプレッシャーもありますし、なかなかこんなに気楽にはできないので……」 

 出番を全て終えたあとの錦織はそう言っていた。

 もっと気楽にやればグランドスラム優勝や世界1位になれるなどと言えば、それこそ気楽なことを言うなと怒られるだろう。しかし、海外のメディアやファンが知らない錦織のおもしろさをアピールすることは、27歳という年齢で迎えるシーズンに新たなステージを切り拓くのではないだろうか。

元世界王者が語る「グランドスラムで勝つ秘訣」とは。

 そのIPTLでは過去のグランドスラム・チャンピオンも数々来日した。

 錦織のグランドスラム優勝の可能性について聞かれると、それぞれに貴重な意見を述べたが、中でも「少ないチャンスを取りきること。本当に自分が優勝できると信じる気持ち。テニスの経験だけではなく人としての成熟」が必要だと説いた元世界1位のマラト・サフィンの言葉は深かった。

 また、その1週間前に東京で行なわれたチャリティーイベント『日清食品 ドリームテニスARIAKE』で来日した元王者のアンディ・ロディックは、トップに勝つ力があることとグランドスラムで優勝する力があることは決してイコールではないと語っていた。

「ケイはトップ選手の全てに勝っているけど、グランドスラムで勝つことの難しさは、それを1つの大会の中で続けてやらなくてはならないということだ」

 ビッグ4、ビッグ5の壁が厚すぎたこの数年、その複数を倒さなければ頂点にはたどり着けないのが現状だった。今ではその壁の一部となったスタン・ワウリンカも、最初のグランドスラム・タイトルとなった2014年の全豪オープンでは、準々決勝で当時2位のノバク・ジョコビッチ、決勝で1位のラファエル・ナダルを破っている。

 今季ケガからの復活を遂げたファンマルティン・デルポトロは、2009年に20歳で全米オープン優勝を果たしたとき、準決勝と決勝で当時3位のナダルと1位のロジャー・フェデラーを連破した。

【次ページ】 2016年はビッグタイトルを獲る下準備の年だった、と。

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