錦織圭、頂への挑戦BACK NUMBER
「若い」「日本人初」「アジア初」の次。
2017年の錦織圭は何で驚かせてくれる?
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byHiromasa Mano
posted2016/12/26 08:00
今季最終戦となったツアーファイナルズでワウリンカに勝利し、思わずガッツポーズの錦織。
2016年はビッグタイトルを獲る下準備の年だった、と。
錦織は今年、全米オープンの準々決勝でアンディ・マレーを破って準決勝でスタン・ワウリンカに敗れた。
トロントのマスターズシリーズでは、そのワウリンカを準決勝で退けていたが、決勝でジョコビッチに屈した。
錦織が唯一それをしたのがあの2014年の全米オープンで、準々決勝で当時4位のワウリンカ、準決勝で1位のジョコビッチとグランドスラム・チャンピオンを連破。皮肉なことに決勝で、ランキングも下で勝ち越している相手でもあるチリッチに敗れたことは、多くのファンの記憶に残っているに違いない。
1人倒せばまた1人、2人倒せば足をすくわれ……頂上は気が遠くなるほど高い。
しかし、上位の壁は明らかにビッグ4全盛期の頃に比べれば揺らいできている。そんな中、5位でシーズンを終えた錦織は肉体的にも精神的にも確実にスタミナがついたことを実感しているはずだ。
ビッグタイトルに届かなくとも安定していた今季の成績は、目標達成の下準備と信じたい。
ところで、髪を染めるくらいいいのでは?
いや、むしろぎょっとするような色に染めてほしい。
それでいきなり成績が落ちたら、危惧した通り「批判」されるかもしれないが、挽回するチャンスがすぐに、そして何度でもやってくるのがテニスの魅力でもある。
2017年は、ちょっと新しい錦織を見てみたい気がする。