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復帰間近の武藤嘉紀、高すぎる勝算。
岡崎らマインツ歴代FWと比べても……。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2016/12/21 11:00
ファンイベントで明るい笑顔を見せる武藤嘉紀。ケガによって中断されてはいるが、武藤嘉紀は成功物語の中心を歩んでいるのだ。
武藤を落ち着かせる2つの理由と、焦らせる1つの要素。
武藤が実戦に復帰するのではないか。
そんな噂が出始めてから、12月8日のELのガバラ戦と、12月11日のボルシアMG戦、ともに武藤はベンチ入りも果たしていない。
一体、どうなっているのだろうか。
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シュミット監督も武藤のなかで、まだ恐怖感があるのだと考えている。武藤自身も、シュートのときなどに、知らず知らずのうちに力をセーブしてしまうことがあることを自覚している。
「難しいですね……」と本音をもらす。
状況を難しくさせている理由が、3つある。
1つ目が、昨シーズンのように、復帰を焦るあまりに、同じ個所を痛めてしまう失敗は繰り返せないと考えているから。
2つ目は、(取材時点で)年内に残っているのはわずか2試合だけだったからだ。そのあとはウインターブレイクに入る。2週間弱のオフをはさみ、温暖なスペインでキャンプから新年の活動をスタートできる。そのころには痛みや不安もほぼ消えていることが予想される。
逆に、武藤の心に波風を立てる3つ目の理由として、ライバルたちの存在がある。
「カリム(・オニシウォ、武藤がいるときはMFで起用されていた)にしてもフォワードができるから、ホント、うかうかしていられない。ジョン(・コルドバ、昨季武藤が負傷中にレギュラーFWの座をつかんだ)もいるし、他にもいる。うかうかしていたら、もう出られなくなっちゃいますからね」
一番大切なことは、来年100%でスタートすること。
もっとも、何がベストなのか、頭を悩ませるのは武藤だけではない。シュミット監督もそうだ。監督が復帰を示唆したり、時期尚早だと語ったりする理由もそこにある。
それでも武藤は、一番大切なことが何かはわかっている。
「まず最も大事なのは、来年は最初から100%の状態で入ること。年内の残りの1試合は自分としてはもちろん出たいけど、監督とも話し合ってやっていかないといけないですよね。ここでもう1度、怪我してしまうわけにはいかないから」