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危ない瞬間が全くなかったモーリス。
花道を香港カップで飾り、堂々引退。 

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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photograph byREX FEATURES/AFLO

posted2016/12/12 11:30

危ない瞬間が全くなかったモーリス。花道を香港カップで飾り、堂々引退。<Number Web> photograph by REX FEATURES/AFLO

ラスト150mで馬群を抜け出し、後続を一気に突き放したモーリス。能力的にも距離適性的にも、底を見せずに引退することになった。

「GIを勝てないサトノ」のジンクスが破れ……。

 第8レースの香港カップに先立ち、第4レースの香港ヴァーズ(シャティン芝2400m、3歳以上GI)では、ジョアン・モレイラが手綱をとった日本のサトノクラウン(牡4歳、父マルジュ、美浦・堀宣行厩舎)が、今年の英キングジョージVI&クイーンエリザベスステークスと米ブリーダーズカップターフの覇者ハイランドリールをゴール前でかわし、GI初勝利をマークした。

 ハイランドリールは今年の凱旋門賞で2着だったから、当然、それを負かしたサトノクラウンには悲願達成が期待される。思い起こせば、この馬は昨春時点で世代ナンバーワンと評価されており、世代全体もハイレベルと言われていた。

 ジンクスは一度破られたらつづくと言われているが、GIを勝てなかったサトノ軍団のGI2勝目は、1歳下のサトノダイヤモンドによる初勝利(菊花賞)から2カ月もかからなかった。

 オーナーもすごいが、堀厩舎の勢いと底力には凄まじいものがある。モーリス、ドゥラメンテといった超一流馬が引退しても、こうして次の看板ホースがすぐ出てくるのだから恐れいる。

4レース合わせても凱旋門賞にはわずかに及ばず。

 第7レースの香港マイルに出走した日本馬3頭のうち最先着したのはロゴタイプで5着だった。第5レースの香港スプリントに出た春秋のスプリント王は、ビッグアーサーが10着、レッドファルクスが12着に終わった。

 香港国際競走のJRAでの売上げは、4レース合計で38億2070万6800円だった。内訳は、ヴァーズ(15時発走)4億8756万900円、スプリント(15時40分発走)5億5326万200円、マイル(16時50分発走)8億9661万8800円、カップ(17時30分発走)18億8326万6900円。時間が経つごとに1レースごとの売上げは上がったが、4レースを合わせても凱旋門賞の41億8599万5100円には及ばなかった。

 これだけのメンバーが揃い、日中のレースだったのに意外と伸びなかったのは、日本のレースと発走時刻が重なるなど、あまりにせわしなかったからだろうか。

【次ページ】 日本では、超良血馬が無敗で2歳女王に。

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