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危ない瞬間が全くなかったモーリス。
花道を香港カップで飾り、堂々引退。 

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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photograph byREX FEATURES/AFLO

posted2016/12/12 11:30

危ない瞬間が全くなかったモーリス。花道を香港カップで飾り、堂々引退。<Number Web> photograph by REX FEATURES/AFLO

ラスト150mで馬群を抜け出し、後続を一気に突き放したモーリス。能力的にも距離適性的にも、底を見せずに引退することになった。

日本では、超良血馬が無敗で2歳女王に。

 国内に目を移すと、阪神ジュベナイルフィリーズ(阪神芝外回り1600m、2歳牝馬GI)を勝ったのは、クリストフ・ルメールが乗るソウルスターリング(父フランケル、美浦・藤沢和雄厩舎)だった。1番人気の支持に応え、戦績を3戦3勝とした。

 英国の怪物フランケルは現役時代14戦14勝、うちGI10勝という驚異的な成績を残し、2013年に種牡馬となった。良質な牝馬だけを選ぶべく種付け頭数を130頭に絞り、翌'14年に誕生した初年度産駒の1頭がソウルスターリングだ。

 ソウルスターリングの母スタセリタはGIを6勝した名牝で、そのうちサンタラリ賞、仏オークス、ヴェルメイユ賞を勝ったときの鞍上はルメールだった。彼が母仔でGIを制したのは、これが初めてだったという。ルメールがコメントしたように、大きなストライドに特徴があり、これまで1800mで2勝していたように、距離が伸びてもさらに強いレースをしそうなタイプだ。

フランケル産駒の牝馬が朝日杯にも登録中。

 例年ならこれで今年の2歳女王は決定なのだが、今年はちょっと事情が違う。今週の朝日杯フューチュリティステークスに、同じフランケル産駒のミスエルテ(栗東・池江泰寿厩舎)が出走するのだ。

 牡馬のような力強さのあるソウルスターリングと対照的に鋭い切れ味を武器とする。前走の疲れをとるのに手間取って、牝馬同士の阪神ジュベナイルフィリーズの予定を1週ずらしたという。もし牡馬勢が負かされたら、最優秀2歳牡馬のタイトルは、有馬記念と同日に行われるホープフルステークスの勝者の手にわたるのだろうか。

 といったように、5つのGIを買える一日が終わっても、新たな見どころが次々と出てくるのが嬉しい。

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