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推した無名選手が次々とジャパンに。
ラグビー界の予言者、山賀敦之。
text by
朴鐘泰Park Jong Tae
photograph byKiichi Matsumoto
posted2016/12/07 08:00
お笑い芸人かと見紛うほどの豊富な表情。しかし山賀敦之の選手を観る目は他に類を見ない先見性だ。
今年1月にジャパン入りを予言したのは1人だけ?
この座談会に登場したのは4名。早大ラグビー部のコーチ経験もあるスポーツライター藤島大さん、元ラグビーマガジン編集長でTV解説でもお馴染みのラグビージャーナリスト村上晃一さん、代表4キャップを持ち、協会リソースコーチも務める野澤武史さん、そして“予言者”、生涯ノートライのまま2015年に引退、吉本新喜劇の舞台に立つなど規格外の活動で知られるセコムラガッツ総監督、山賀敦之さんである。
11月のテストマッチ4連戦では、16人もの選手が代表デビューを飾った。指揮官ジェイミー・ジョセフのコメントから察するに、今後も無名の有能選手が代表に招集されると予想できる。そこで、再び山賀さんに聞いてみることにした。他にもジャパンにオススメの選手、います? と。
――今年1月の時点で、アニセサムエラのジャパン入りを“予言”したのは、地球上で山賀さんだけだと思います。
山賀 いやいやいやいや、あの取材も最初、編集部の方からお話があった時、何回もお断り入れたんですよ。やりたくない、とかそんなんじゃなくて、トライを決めたことのない僕が現役の選手についてああだこうだ言うのは失礼だと思うんです。今回も前回同様、ラグビーとラガーマンを心から愛する「ファン代表」ということで好き勝手言わせてもらいますが、どうかお許しください。
キヤノンでもマジメさは変わらず。
――あの座談会の後、4月にアニセは日野自動車からキヤノンに移籍しました。
山賀 実は、移籍が決まったタイミングで、ヨウジさん(監督の永友洋司)に電話したんです。「あの記事読んで獲ったんだよ」と言ってくださいまして。リップサービスだと思うんですけど。
アニセはキヤノンでも変わらず、すっごいマジメだそうです。みんなより早く練習場に来て準備するし、ラインアウトのビデオも一生懸命見て研究してるみたいで。夏にセコムがキヤノンと合同練習をさせてもらって、キヤノンのクラブハウスに行ったんですけど、そこでアニセにも挨拶できましたよ。「(Numberを)読んだ? 私はあなたをチョイスしたんだよ」って言ったら、「ブラー、ブラー」って、分かっていないなりに喜んでいましたね(注:Bulaとはフィジー語で「こんにちは」)。それにしても、あのクラブハウスは最新の設備が整った素晴らしい施設でした。ただひとつ難点なのは、セキュリティがセコムじゃない、ということくらいですね。