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ジャパンカップは爆発力>安定性。
ディーマジェの沈む走りが復活する。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2016/11/26 08:00
2番人気に支持された菊花賞では4着と初の着外に敗れた。世代最強の一角という地位を守ることができるか。
ハイレベルな3歳からは皐月賞馬ディーマジェスティ。
「空前のハイレベル」と言われている3歳勢からは、3強の一角、ディーマジェスティ(牡3歳、父ディープインパクト、美浦・二ノ宮敬宇厩舎)が参戦してくる。
前走の菊花賞で4着に敗れたのは、距離のせいではなく、馬体に余裕があったからだと思われる。叩き3戦目の今回は、あのようなことはないだろう。皐月賞を勝っているが、以前から東京のほうがいいと言われており、ダービーも不利がなければもっと際どい勝負になっていたはずだ。古馬より2キロ軽い55キロで走れることにより、本来の沈む走りに鋭さが加わり、古馬勢を撃破する可能性は小さくない。
菊花賞でディーマジェに先着する2着となったレインボーライン(牡3歳、父ステイゴールド、栗東・浅見秀一厩舎)の一発もあり得る。2走前の札幌記念では、ネオリアリズム、モーリスという歴戦の古馬につづく3着に来て、モーリスとは首差だった。モーリスの強さは言わずもがなだし、ネオリアリズムもマイルCSで3着になった実力馬だ。そして、ヌーヴォレコルトやヤマカツエースらに先着している。競走馬は強い相手と一緒に走ることによって強くなる。その意味では、同い年のディーマジェ以上に有意義な「馬生経験」を積んできたと言える。
ライアン・ムーアは400mの距離を埋める?
ドバイターフを勝ったときと同じく、ライアン・ムーアが手綱をとるリアルスティール(牡4歳、父ディープインパクト、栗東・矢作芳人厩舎)も万全の状態だ。安田記念以来5カ月ぶりの実戦だった前走の天皇賞・秋は本来の出来ではなかったはずなのに2着を確保。ベストは2000mだろうが、矢作調教師が「残り400mを埋める作業をライアンがしてくれると思う」と話しているように、ムーアなら、掛かることなく立ち回り、最後の瞬発力を引き出すだろう。
過去10年で牝馬が5勝し、2着2回、3着3回と結果を出しているだけに、ルージュバック(牝4歳、父マンハッタンカフェ、美浦・大竹正博厩舎)にも期待したい。前走の天皇賞・秋は、直線入口でなかなか外に出せず、スパートするタイミングが遅れて7着に敗れたが、スムーズな競馬ができれば勝ち負けになる力はある。
前走のアルゼンチン共和国杯を勝ったシュヴァルグラン、昨年6着だったフランス調教馬のイラプトも、2、3着ならありそうだ。