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堂安律「なんで出れへんのやろ」
ガンバが英才教育を施す天才の苦悩。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2016/11/23 11:00
ガンバが輩出する「天才」の系譜に連なる堂安律。テクニックが最大の武器だが、屈強な身体を備えていることも期待感を高める。
小学生の頃から憧れていた元旦の天皇杯決勝へ。
堂安がJ1で出場機会を増やすには、どんなプレーが必要なのか。
そのヒントを感じたというのが、セカンドステージのジュビロ磐田戦。後半33分に出場した堂安は、左サイドでボールを受けるとドリブルで1人かわして中へ、それを長沢駿が決めてアシストを記録した。途中出場の役割を果たし、結果を出すことができた。
「課題は多いけど、点に絡むこういうプレーを90分通してコンスタントにできれば試合に出れるようになると思います」
近いところでは、まず12月24日から天皇杯が再開される。勝ち進めば、決勝はホームの吹田スタジアムで迎えられる。
「天皇杯の決勝は憧れなんですよ。小学生の頃から、家族と一緒に元旦は天皇杯決勝やぞってワクワクして見ていた。勝ち進んで出場できるのは夢みたいやし、自分が出たら家族も喜んでくれると思うんです。それに向けてYS横浜戦はアピールしたかったんですけど、腹が痛かったんで悔いが残ります」
堂安は、そういって顔をしかめた。
いろんな経験ができたシーズンだったが世界を見渡せば18歳で活躍している選手はゴロゴロいる。チームメイトの井手口陽介は2歳違いで、すでにA代表に招集された。いつまでも「若手」ではいられない。
「来年はJ1でプレーして結果を出す。それを自分に言い聞かせながらやっていきます」
有言実行――。自らの殻をブレイクスルーできれば、J1の先の「世界」も再び見えてくるはずだ。