マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
「小野でよかったんや」と唸らせる男。
無名の阪神2位・小野泰己は素材◎。
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2016/11/16 07:00
明治神宮大会で小野は7回1失点ながら上武大に0-1で敗れた。ただそのピッチングは、虎党も納得の好内容だった。
「やっぱり小野でよかったんや」と言わせる投手に。
ならば、投手陣はどうだったのか。
勝ち星でいえば、メッセンジャー12勝、岩貞祐太10勝、能見篤史8勝に、藤浪晋太郎が7勝。
さみしいかぎりの投手陣に、名前はなくともこんな逞しい快腕が加わるのは、間違いなく朗報であろう。
投げるほどに球威を増してくる投手は、今のタイガース投手陣にはいない。
富士大で1年先輩だった多和田真三郎は西武に1位指名で入団した今季、夏場から一軍のローテーションで投げ、ほとんどペナントレース後半戦だけで7勝をあげて、投手陣の一角にのし上がってみせた。
来年の今ごろ、先輩右腕と同じような奮投を見せて、「やっぱり小野でよかったんや……」、タイガースファンたちにそんな安堵を与えている姿を想像している。
富士大・小野泰己、素材は間違いない。