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米ツアー挑戦中のベテラン上原彩子。
「私、運があるからすごいことするよ」
posted2016/10/30 07:00
text by
南しずかShizuka Minami
photograph by
Shizuka Minami
上原彩子の今季の序盤戦は散々だった。1月の開幕戦から4月までに開催された9試合のうち8試合で予選落ち。
「もう、どうしようかと不安でした」
結果が出なかった原因は、今年から師事するコーチのイアン・トリッグスとともに取り組んだスイング改造にあった。
日本ツアーより長丁場で、パワーヒッターの多い米ツアーで対等に戦うために「無駄な動きを減らして効率よく体を使い、安定したスイング」を目標とした。32歳というベテランの域に入っているが、優勝するために、躊躇することなく新たな挑戦をするのは上原らしい。
ところが、昨年の12月は腰痛で休養せざるをえず、スイング改造に取り掛かかったのは、開幕戦から1カ月も経った2月上旬からだった。
すでに微調整が終わり万全の状態で試合に臨んでいる選手に比べて、完璧に出遅れた。
姉のアドバイスでスイングの安定を取り戻す。
頭では状況を理解していても、やはり予選落ちが続くとキツイ。
「心はしょっちゅう折れます、本当に」上原は苦笑いする。
落ち込んでいる上原を支えたのは、故郷である沖縄に住む家族だった。5月の試合には、元トライアスロンのトップ選手で上原の長姉のちはるさんが励ましに来てくれた。「気持ちが途切れたら終わるからね。絶対諦めちゃいけないよ」
同じアスリートで信頼する姉のアドバイスを真摯に聞くことで、上原の気持ちと結果が上向き始めた。ドライバーの正確性を保ったまま、昨年と比べてドライバーの平均飛距離を約6ヤード伸ばすことに成功し、5月以降に予選落ちしたのは14試合のうち、わずか2試合のみである(10月26日現在)。
上原は、スイング改造だけではなく、ショットの練習にも力を入れている。